なぜ彼は退場になったのか? 出場10秒でイエロー2枚の珍事「史上最速」「最も不条理」

写真拡大

アルゼンチン4部所属のアレグレが、ピッチへの“無許可”立ち入りと侮辱行為で退場

 アルゼンチン4部の試合で、ピッチに入ってわずか10秒でイエローカードを2枚もらい、退場する珍事が発生。

 あまりの稀有な出来事に、地元メディアを中心に世界各国のメディアが「アルゼンチン史上最も早い退場」「最も不条理」と報じ、話題となっている。

 思わぬ形で人々の視線を集めたのは、アルゼンチン4部のデポルティボ・マダリアガに所属するマルティン・アレグレだった。

 10月29日に行われた本拠地ビラ・アルベア戦、2-1とリードして後半アディショナルタイムを迎えたマダリアガは、残り時間を使うことも視野に入れてアレグレの投入を図った。しかし、アレグレは交代する選手がピッチを出る前に、主審の許可を得ずにピッチに入ってしまい、“やり直し”を命じられた。タッチラインに戻り、再びピッチに足を踏み入れたアレグレには違反行為を犯したとしてイエローカードが提示されたが、その際にアレグレは振り返り、バックステップをしながら主審に何やら言葉を浴びせた。

 すると、主審はすぐにアレグレを追いかけ、イエローカードを提示。2枚目の警告を受けたアレグレはボールに一度も触れることなく、ピッチに足を踏み入れてからわずか10秒で退場を強いられることになった。

 JFAが公開している「サッカー競技規則」に照らし合わせてみると、第12条「ファウルと不正行為」の項目には、交代要員または交代して退いた競技者が「プレーの再開を遅らせる」「言葉または行動による異議を示す」「主審の承認を得ず、フィールドに入る、または、復帰する」のいずれかを犯した場合、警告になると記されている。アレグレの行動はまず3つ目の「主審の承認を得ず、フィールドに入る」に該当し、その後2つ目の「異議」に値するものと思われる。

「最も珍しい退場」「信じられない瞬間」

 英紙「ザ・サン」は、「最初のイエローカードは、彼がチームメイトが残っている状態で入ってこようとしたから。2つ目は侮辱によるものだ」とビクトル・コルデロ主審が状況を説明したコメントを紹介している。

 あまりの珍事に、各国のメディアも反応した。アルゼンチンのテレビ局「TN Todo Noticias」が「最も珍しい退場:ボールに触れることなく、コートに滞在10秒」と伝えれば、アルゼンチン紙「MDZ Online」も「アルゼンチンのサッカー史上最も早い退場」と秒数のカウント付き動画とともに報道。他にも「信じられない瞬間」(英紙「ザ・サン」)、「史上最速のイエローカード2枚?」(英紙「デイリー・ミラー」)、「不条理な退場」(スポーツ専門テレビ局「FOXスポーツ」南米版)と事態の稀有ぶりを伝える見出しが躍った。

「ザ・サン」紙によれば、アレグレは試合後に謝罪したというが、時すでに遅し。彼にとっては、チームがそのまま2-1で勝利したことが唯一の救いだろう。

【了】

フットボールゾーンウェブ編集部●文 text by Football ZONE web

ゲッティイメージズ●写真 photo by Getty Images

【動画】「FOX Deportes」公式ツイッターが公開した、アレグレの“10秒退場”の一部始終

「FOX Deportes」公式ツイッターが公開したアレグレの“10秒退場”の一部始終