マーリンズ・イチロー【写真:Getty Images】

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怪我を少なく過ごすには、自分の体のバランスを知ることが大事

 来月で44歳を迎えるマーリンズイチロー外野手。メジャー17年目、最年長野手としてプレーし続ける今季は、出場するたびに何らかの記録が更新される状態が続いている。ここまでに、メジャー通算安打数(3079本)ではリッキー・ヘンダーソン(3055本)らを抜き、交流戦通算安打数ではデレク・ジーターを超えた。ジョン・バンダーウォールの持つシーズン代打安打記録(28本)の更新も時間の問題かもしれない。そんな“生きる伝説”について、MLB公式サイトでは特集を組み、本人へのインタビューから長いキャリアを送るコツ、かの有名な“ルーティン”について紹介している。

イチローに残された数十年の現役生活」と題された記事では、レギュラーから控えに役割を変えながらも、今なおプレーで貢献する背番号51の魅力を分析。日本で9年、メジャーで17年、合計26年の長い現役生活を送れるコツは、おなじみの“ルーティン”と呼ばれる念入りなトレーニングにあるとしている。

 だが、プロ入りしてすぐ、このルーティンを確立した訳ではない。記事によれば、オリックスでプレーした1990年代には「みんなのようになろうと、体を大きく鍛え上げようとしたこともあります。でも、僕にとっては合わない方法でした」と通訳を介して明かしたという。

 長いキャリアを送りながらも大きな怪我はほとんどない。怪我の少なさこそが、長いキャリアに直結するとも言える。どうしたら怪我なく過ごせるのか。イチローは、その秘訣について「自分が耐えうる、適切な体のバランスを知ること」だと話したそうだ。「僕は自分の体が耐えうる、適切なバランスを保つことができています。ただ、そこは人それぞれ違う。自分の体に適したバランスを超える選手を何人も見てきましたが、たいがい怪我をしてしまいます」と、体が求めるバランス、そして体の耐えうる限界を知ることが大切だとしている。

イチローがMLB公式サイトで明かした、典型的な1日の過ごし方とは…

 そして、体の適切なバランスを保つためにたどり着いたのが、現在の“ルーティン”だ。イチローが初動負荷の掛かるマシーンを使ったトレーニングを行うことは広く知られているが、記事ではイチローの典型的な1日の過ごし方が紹介されている。

「午前11時頃に起きて、自宅でトレーニングをします。家にもマシーンがありますから。昼食をはさんで、またトレーニングをします。球場に出掛けるのは午後3時頃(午後7時10分試合開始の時)。球場に到着後は、置いてある僕のマシーンでトレーニングしてから、打撃ケージで打つ。その後、少しマシーンでトレーニングしてから、打撃練習に向かいます。

 打撃練習の後、午後6時15分にケージに戻って、また打ち込みます。そのすぐ後でトレーニングマシーンに向かって、午後7時10分に試合開始。試合後に帰宅すると、まずは食事。それから、その日の状態にもよりますが、夜にトレーニングすることもあります。終わったらマッサージを受けて、だいたい午前3時頃には寝ますね」

 これが本拠地での典型的な1日だというが、野球のためにすべての時間が費やされていることがわかる。球界広しと言えど、ここまで日々の生活をストイックに生きている選手はほとんどいないだろう。果たしてイチローは何歳まで現役を続けるのか。もしかしたら、本当に数十年先もプレーし続けているかもしれない。(Full-Count編集部)