バンクーバー五輪代表など、トップ選手として活躍を続けた小塚崇彦氏【写真:編集部】

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【小塚崇彦が語る非定期連載】王者・羽生結弦に焦りあり? 今シーズンの見所は

 2月に平昌五輪を迎えるフィギュアスケート界。4年に一度の夢の祭典まで半年を切り、シーズン開幕前から盛り上がりを見せている。「THE ANSWER」ではバンクーバー五輪代表の小塚崇彦氏がフィギュアスケートを語る非定期連載をスタート。現役スケーターの分析からフィギュア界の裏側まで、毎回テーマを設定。元トップ選手だから語れる話題をお届けする。第1回のテーマは「小塚崇彦が語る17-18年シーズンの見所」。今シーズン、いったい、何に注目すれば楽しめる?

 4年に一度の夢の祭典まで半年を切った。フィギュア界でも金メダルを目指し、氷上で熱き戦いが始まろうとしている。

 男子では連覇を狙う羽生結弦(ANA)に対し、前世界王者ハビエル・フェルナンデス(スペイン)、18歳の新鋭ネイサン・チェン(米国)、日本の宇野昌磨(中京大)らが挑む。一方、女子はエフゲニア・メドベージェワ(ロシア)が絶対女王に君臨。日本では宮原知子(関大)、三原舞依(神戸ポートアイランドクラブ)、樋口新葉(日本橋女学館高)らが出場2枠を争い、躍進を狙う。

「オリンピックは4年に一度しかない舞台。その場所で誰がメダルを獲るのか、当然、見ものになると思います」

 小塚氏は語った。ただ、10年バンクーバー五輪で高橋大輔、織田信成らと争って出場し、8位入賞した元トップスケーターは、選手としての五輪までの“過程”に注目しているという。

「メダルはもちろんですが、オリンピックに向かっていく選手がどんな気持ちで臨み、どんな道のりを平昌まで過ごしていくのか。オリンピックだけが試合じゃない。フィギュア界はシーズンが設定され、シーズン中には多くの試合がある。一つ一つの試合をどう乗り切り、どう歩んでいくのか見ものになります」

最大の注目は羽生、ライバル急成長「焦りもなくはない。演技に影響する部分も…」

 シーズンは今月から本格的に開幕し、グランプリ(GP)シリーズはロシア杯(10月20日開幕・モスクワ)で初戦を迎える。

「GPシリーズ、GPファイナル、日本では全日本選手権という流れがあり、全日本が最終選考会と位置付けられている。結果もそうだけど、内容も大事になる。良くても結果が出ない時もあるし、悪くても結果が出る時もある。だからこそ、演技内容を見ながら、楽しんでいきたいと思っています」

 もちろん五輪が最大目標だが、その道中でどんな演技を見せ、誰が平昌の舞台にたどり着くのか。熱い争いに楽しみがあるという。

 なかでも、日本人で最大の注目を浴びるのが、羽生だ。GPシリーズは第1戦・ロシア杯から登場する。

「これまで数シーズンは絶対王者と言われてきた。しかし、他の選手が急成長して、後ろから追い上げられていると感じています。観戦者としてはおもしろいけど、羽生選手からしたらちょっとした焦りもなくはないと思います。それが演技に影響する部分も出てくるんじゃないでしょうか」

 羽生を筆頭に日本人選手はどんな演技でファンを魅了し、誰が平昌で躍動するのか。今シーズンのフィギュア界、注目点は尽きない。

◇小塚 崇彦(こづか・たかひこ)

 1989年2月27日、愛知県生まれ。28歳。中京大中京―中京大―中京大大学院―トヨタ自動車で活躍。06年の世界ジュニア選手権、10年の全日本選手権優勝。同年のバンクーバー五輪8位入賞。11年世界選手権2位。15年12月の全日本選手権を最後に引退。引退後はトヨタ自動車の強化運動部に所属し、スポーツの普及・発展に尽力するほか、アイスショーにも出演。現役時代と変わらない美しいスケーティングで人気を博している。

※次回テーマは「羽生結弦『SEIMEI』再演の是非」