雨上がりの空や、水しぶきを上げる滝、太陽を背にしてホースで水まきをした時などに出現する「虹」。その色といえば、日本では赤・だいだい・黄・緑・青・藍・紫の7色が一般的ですが、実は虹の色(の数)は国や民族、時代によって異なります。今回は世界の虹について、カラー&イメージコンサルタントの花岡ふみよさんに聞きました。

日本ではかつて「5色」とされていた

 そもそも虹とは、赤や紫などさまざまな波長を持つ太陽の光が空気中の水滴の表面で屈折・反射し、その曲がり方の違いで別々の色に分かれた、帯のように見える像です。花岡さんによると、日本において古くは5色、沖縄地方では2色(赤と黒、あるいは赤と青)とされていました。

 一方、世界に目をやると、虹の色は国や民族によって多種多様であることがわかります。米国や英国では6色(赤・だいだい・?・緑・青・紫)、ドイツでは5色(赤・?・緑・青・紫)、アフリカのバサ語族は2色(赤・黒)、インドネシアのフローレス島地方では、赤地に?・緑・青の縞模様(赤・?・赤・緑・赤・青・赤の順番)であると考えられているそうです。

 日本人にとって、虹は7色がなじみ深いですが、虹にははっきりとした色の境目があるわけではなく、見方によっては7色より多く、あるいは少なく見えます。多くの日本人にとって虹が7色である理由については、英国の物理学者ニュートンによる光の研究が関係しているそうです。

「かつて英国では、虹の基本色は5色(赤・?・緑・青・紫)と考えられていましたが、1666年、ニュートンが太陽光をプリズムで虹色の帯に分解し、この基本色にオレンジ(だいだい)、インディゴ(藍)を加えて7色にしました。虹の色は無限に変化していることを知っていながら『7』にこだわったのは、当時の西洋で7が神聖な数字だったからです」(花岡さん)

明治の教科書が「7色」と紹介

 ここから、英米の学術分野では虹を7色と定義するようになりましたが、明治維新以降、欧米の影響を受けていた日本もそれにならい、明治8年発行の教科書「小学色図解」が「太陽の光は7色」と紹介したことで7色が一般的になりました。

 ただし、ニュートンによって7色と決められたといっても、一般社会では7色に統一されたわけではなく、現在の英米では一般的に6色と認識されています。「虹が何色に見えるかは光学的に定められた概念ではなく、また、虹の色数は科学ではなく文化の問題であるため、地域や民族、時代によって違いが生じるのです」。

(オトナンサー編集部)