2006年オフにポスティングシステムを利用してヤンキースへと移籍した井川慶【写真:Getty Images】

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現在は大型契約のエルズベリーが苦戦…米メディアが“ワースト契約”を選出

 有力選手を球団に迎え入れるため、豊富な資金力を生かして、これまで数々の大型契約を成立させてきた名門ヤンキース。ただ、中には「失敗」とされる契約もあり、“不良債権”と呼ばれる選手も多く存在した。

 現在のチームでも、年俸ほどの働きをしていないとして、ジャコビー・エルズベリー外野手が批判を浴びている。米新興スポーツメディア「ファンラグ・スポーツ」は「ジャコビー・エルズベリーはヤンキース最悪の契約ランキングに入るか?」とのタイトルで特集記事を掲載。その中で、ヤンキースが今世紀に結んだ「ワースト契約」の1つとして、井川慶投手の名前もあがっている。

 2005年のドラフト1巡目(全体23位)でレッドソックスに入団したエルズベリーは、2度の世界一に貢献。2013年シーズンに2度目の世界一に輝いた後、FAとなり、宿敵ヤンキースと7年総額1億5300万ドル(約167億円)で契約した。

 ただ、4年目の今季は115試合のうち71試合の出場にとどまっており、打率.240、4本塁打、23打点、15盗塁と低迷。元々、怪我の多い選手ではあったものの、ヤンキース移籍後は打率.240とレッドソックス時代の打率.283から落ちている。盗塁数も、レッドソックスでは2008年に「50」、2009年に「70」、2013年に「52」と3度リーグ最多を記録したが、移籍後は1年目の2014年の「39」が最多。2015年は「21」、2016年は「20」と持ち味を生かせていない。

 記事では、エルズベリーがベンチを温めることが多い現状に触れつつ「エルズベリーの契約がいかに悪いものとなったかを語れば、ヤンキースが今世紀に結んだ他のひどいFA契約が頭に浮かぶ」と言及。そして「エルズベリーに何が起きているかを見るために、これがヤンキースが2000年以降に結んだ他の4つの災厄のようなFA契約だ」と“ワースト契約”を挙げている。

「イガワはヤンキースファンをゲンナリさせるもう一つの投手名」

 2003年3月にホセ・コントレラスと結んだ4年総額3200万ドル(約35億円)、2004年12月にカール・パバーノと結んだ4年総額3995万ドル(約43億6000万円)、2008年12月にA・J・バーネットと結んだ5年総額8250万ドル(約90億円)とともに「ケイ・イガワ」も“エントリー”。2006年オフに阪神から移籍した左腕は、5年総額2000万ドル(約21億8000万円)という年俸総額に加え、ポスティングシステム(入札制度)の落札額として2600万194ドル(約28億4000万円)がかかった。

「イガワはヤンキースファンをゲンナリさせるもう一つの投手名だ。新しく別の国に来て適応し、MLBで成功するのは選手にとって常に簡単なものというわけではない。しかしイチローやヒデキ・マツイ、ヒロキ・クロダと異なり、イガワは完璧に災厄となった」

 寸評では、このように厳しく指摘。ヤンキースでは2007、08年の2シーズンでわずか16試合登板、2勝4敗、防御率6.66の成績に終わったことに触れつつ「イガワは契約の残りを3Aスクラントンや場合によって2Aトレントンで過ごし、最終的に2011年に退団になった」としている。

 4つの「ワースト契約」はすべて投手という結果に。昨季引退したアレックス・ロドリゲス氏も2007年オフに1度契約を破棄し、10年総額2億7500万ドル(約300億円)という破格の契約を結び直したが、負傷や薬物規定違反での出場停止処分もあり、キャリア終盤は“不良債権”として大きな批判を浴びた。ただ、記事では「確かにアレックス・ロドリゲスのヤンキースとの2度目の契約は災厄だったが、彼は2009年にヤンキースを優勝へと導いた」と世界一の実績を評価している。この年は、松井秀喜氏がワールドシリーズMVPに輝いた。

 エルズベリーがこの「ワースト契約」に加えられてしまうかも、まだまだ今後のプレー次第となりそうだ。(Full-Count編集部)