たったひとつの違いなのに、3と4では得られるものが大きく変わってくる。

 グループステージで敗退するのと、ノックアウトステージへ進出するのでは。

 U−20W杯に出場している日本が、グループ3位でベスト16入りを決めた。5月27日のイタリア戦で2対2のドローを演じ、成績上位の3位国の枠を確保した。

 イタリアとの90分は、予想外の展開が奇貨となった。開始7分にして2点のビハインドを背負ったことで、やらなければならないことが強制的にはっきりとしたのである。ノックアウトステージへ進出するためには、とにかく同点に追いつかなければならない。

 堂安律によるふたつのスーパーなゴールで、日本は2対2のドローへ持ち込むことができた。これにより、成績上位の3位国での立場が好転する。勝点と得失点差で並ぶグループB3位のドイツを、総得点で上回ったのだ。

 このままゲームを終わらせれば、ノックアウトステージ進出が決まる。3点目を狙うよりも、失点のリスク軽減を重視するのは当然の判断だ。引き分けならグループ2位となるイタリアもまた、3点目は求めてない。両者の利害は無理なく一致し、ゲームは2対2で幕を閉じた。

 グループ2位でベスト16入りすると、グループEの1位と対戦する。日本が第3戦を戦っている時点では、フランスの首位通過が濃厚だった。3位ならグループBの1位で、こちらはすでにベネズエラで確定していた。

 どちちが与しやすいかはともかく、ベネズエラは戦いにくい相手ではない。最終ラインと前線に高さのある選手が揃っているものの、長身選手の対応はイタリア戦で経験している。その意味でも、3位通過は悪くなかった。

 対戦相手に関わらず、ノックアウトステージ進出は価値がある。

 3試合で争うグループステージは、勝点を計算した戦いだ。表現を変えれば、余力を残すことができる。日本と対戦したウルグアイが、先制後はさほど攻撃に力を注がなかったように、である。

 これがノックアウトステージになると、フルスロットルでのサバイバルになる。試合運びの強弱はあるにせよ、次の試合を考えた攻防にはならない。「世界の舞台で何ができて、何ができないのか」を、本当の意味で測れることになる。

 対戦相手との条件も変わってくる。グループBのベネズエラは、日本より一日早く第3戦を戦っている。2試合終了時点で16強入りが決まっていたため、メキシコとの第3戦ではメンバーを入れ替える余裕もあった。

 主力を休ませずにグループリーグを戦い抜き、得点源の小川航基をケガで失った日本は、ベネズエラよりオフが一日少ないことも踏まえてもフィジカル的に厳しい。そのなかでも、勝利をつかむことができるのか。チームをベスト16へ導いた堂安を相手に封じられたときに、打開策を見出すことができるのか。

 ラウンドオブ16は、様々な意味で真価を問われる一戦となる。

「3」試合だけでは知りえない世界が、「4」試合目だからこそ感じ取れる現実が、内山篤監督と選手たちを待っている。