地域活性ベンチャーの「あわえ」(徳島県美波町)が2017年5月16日、地方のビジネスに参入したい企業と、地域の課題を解決したい地方自治体を結び付けるマッチングイベント「経営課題を、地方で解決。-マッチングイベント-」を開催した。


マッチングイベントの風景

イベント開始前に行われた事業発表会では、あわえの吉田基晴社長が、同社の考える地方創生のビジョンを語った。

企業理念は「日本の地方を元気にする」

吉田氏は2013年6月、ITベンチャーの「サイファー・テック」(東京都新宿区)を経営するかたわら、故郷の美波町に「あわえ」を立ち上げた。企業理念は、「日本の地方を元気にする」。「『地域課題』と向き合い新しいビジネスモデルを作る」をモットーに、現在8人の従業員で地域を活性化させるプロデュース事業を行っている。


吉田基晴氏

発表会では、具体的な事業例も紹介された。美波町にサテライトオフィスを構え、都心の雇用者や企業家を誘致したり、人材を育成する「MINAMIクリエイターズスクール」を設立したり、メディア向けの地域情報発信者を育てたり......。

ベンチャー企業17社の誘致に成功しているサテライトオフィス。そこには地元住民から、産業衰退や少子高齢化、教育格差、防災対策の問題点が持ち込まれるようになった。同社と誘致企業の社員たちは地域に溶け込み住民との交流を深めていると、あることに気付いたという。

「地域課題とは必ずしも、住民が抱える課題とイコールではない」(吉田氏)

企業の頭数をそろえたい行政は「空気が良い」「お酒がおいしい」「人がいい」「助成金を用意している」などの誘い文句を繰り返し、企業はビジネスを売り込もうと地域に飛び込む。行政と企業の「主張が噛み合わない」のも、こうして互いの関係性を考慮していないからだという。



吉田氏はイベント開催に際し、

「行政が地域の課題や悩みを説明し、企業にどんな技術を持っているかを質問する。企業はなぜ地域を目指すのか(を説明し)、どんな悩みごとがあるのか(を質問する)。今回のマッチングトークで、こうした良いお見合いをしてくれれば」

と述べていた。発表会後のイベントには、美波町に加え、秋田県大館市、岩手県八幡平市、神奈川県真鶴町、静岡県南伊豆町、熊本県天草市、熊本県菊池市の計7自治体が参加。企業も85社が参加し、マッチングを行った。