17日に行われたボストンマラソンで、日本の大迫傑が3位に入る快走を見せた。近年低迷が続く日本男子マラソン界にとっては朗報だが、中国のマラソン界から見ると「日本はずっと強い」という印象があるようだ。(イメージ写真提供:123RF) 

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 17日に行われたボストンマラソンで、日本の大迫傑が3位に入る快走を見せた。近年低迷が続く日本男子マラソン界にとっては朗報だが、中国マラソン界から見ると「日本はずっと強い」という印象があるようだ。

 中国メディア・今日頭条は21日、「どうしてわれわれはマラソンで日本人にかなわないのか」とする記事を掲載した。記事は、その理由を読み解く手がかりとして「金メダル至上主義」というキーワードを示している。中国の競技スポーツは、国際大会においても国内大会においても優勝や金メダルばかりを狙う傾向があり、中国の陸上界も同様であるとしたうえで、具体的な理由について言及している。

 まず、これまで中国の各省が全国体育大会で金メダルを取るために強化してきた男子800メートル・5000メートル、女子3000メートル障害が、同大会の種目から外されたことを挙げている。これにより、国内における中長距離選手の育成が重視されなくなり、優秀な選手が早々に引退する事態になったとしている。

 また、「金メダル至上主義」ゆえに人材育成、トレーニング、成績向上といった点で功利を急ぎする点も指摘。基礎を疎かにし、選手の長期的な発展を考えないことで、選手の寿命を縮めていると説明した。さらに、日本のマラソン界は常にトレーニングに新しい試みを取り入れているのに対して、中国では前の世代が残した方法をそのまま使い回しており、学ぶ姿勢が不足していると指摘した。

 さらに、日本人が持つあきらめない精神、競技に対する追求心やストイックな姿勢が欠けていること、近年起きているマラソンブームが単に商業目当てのものであり、選手たちのメリットについて考慮されていない点も挙げた。

 記事は「金メダル至上主義を背景とする現在の体制を変えることは難しく、短期間のうちに政策的な支援を受けることも非現実的。唯一の希望は、コーチや選手が発奮して、ともに努力して気を吐くことなのだ。そして、社会の力による注目とサポートも必要。実は、これが本当に必要なのである」としている。

 1990年ごろに世界に衝撃を与え、疑惑とともに消えていった中国長距離界の最強軍団「馬軍団」は、まさに記事が指摘する「金メダル至上主義」の象徴と言えるかもしれない。アスリートが頂点を目指すのは当然だが、国や地域は彼らを使い捨ての道具のように考え、扱ってはならない。(編集担当:今関忠馬)(イメージ写真提供:123RF)