TBS日曜劇場「A LIFE〜愛しき人〜」公式サイトより

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 木村拓哉(44)主演のドラマ「A LIFE〜愛しき人〜」第3話が29日に放送され、平均視聴率は前回より0.8ポイント下がって13.9%(ビデオリサーチ調べ、関東地区)となりました。

 第3話は、小児科を受診した女の子の腹痛の原因を沖田一光(木村拓哉)と壇上深冬(竹内結子)が突き止めるも、前に女の子を診察していた医師が学会のトップだったことから院長(柄本明)のストップがかかってしまったというストーリー。沖田は、それならここを辞めてほかの病院で手術すると譲らず、副院長(浅野忠信)は院長に黙って手術を許可。最終的には院長も腹をくくったという話が展開されました。

 軸となるストーリーはまずまずかなと思う一方で、豪華出演陣をいまひとつ活かしきれていない印象も。生意気な小物キャラだった井川颯太(松山ケンイチ)は、なぜか第3話にして安易なお笑いキャラに変貌。「論文書くことバカにしてません?」と沖田に突っかかってきた舌の根も乾かぬうちに、「沖田先生がオペする時、オレも入れてください」と頭を下げたり。論文を調べてオペの方法を自力で見つけて患者を救った!と沖田に自慢したら、「その(論文に書かれている)オペやったの僕だから」と事もなげに言われてしまったり。笑えるキャラがドラマの中ではいいスパイスになっていることは否定しませんが、松山ケンイチをキャスティングして、やりたかったことがこれなんでしょうか。

 今回は外科部長(及川光博)も、周囲の医師に「沖田派じゃないよね?」と尋ねてばかりの人に。顧問弁護士(菜々緒)の登場シーンもなんだか不自然で、「戦い方変えたらどうですか?」と副院長に言わせるためだけにバッティングセンターで待っている描写まで必要だったのかどうか。とりあえずキャスティングしているから何が何でも各登場人物をワンシーン登場させなきゃ、ひとこと台詞を言わせなきゃ、という考えに脚本が縛られているように見えます。

 第3話では木村拓哉が型破りな言動でヒーロー道を突き進む表のストーリーと並行して、小児科廃止が銀行の意向による既定路線であることが明かされました。院長が善玉で副院長は悪玉という単純な図式ではなく、院長のやり方では病院そのものがつぶれてしまうという事実。病院の存続経営を巡って、今後ひと悶着もふた悶着もありそうです。

 昔付き合っていたという沖田と深冬の関係も、周囲の人物の思惑を巻き込んで何かしらストーリーにかかわってきそう。オペナースの柴田由紀(木村文乃)は深冬に「愛されてるんですね。旦那さんじゃなくて」と、沖田を意識させるような言葉を掛け、副院長が沖田に「まだ好きなのか。深冬のこと」と、大人げなく迫る様子も描かれました。話が陳腐になるので沖田と深冬どうこうはこのドラマには不要だと思いますが、やっぱり書きたいんですかね。木村文乃の出番がたくさんありそうな第4話に期待します。

文・中島千代