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師走から新年にかけ、忘年会や新年会などお酒を飲む機会が増えがちだ。たまに飲酒をする分にはいいだろうが、やはり毎日飲み続けると体にダメージを与えるようだ。

海外のさまざまなニュースを紹介する「MailOnline」にこのほど、「飲酒と前立腺ガンの関係」に関するコラムが掲載されたのでその内容を紹介しよう。

カナダのビクトリア大学とオーストラリアのカーティン大学の研究グループは、アルコール摂取と前立腺ガンの関連性にまつわるこれまでに行われた26個の科学的研究を分析した。その結果、毎日5%のアルコール度数のビールを1パイント(約473ml)もしくはワイン350mlに相当するアルコールを摂取する男性は、全く飲まない人と比べて23%も前立腺ガンの罹患(りかん)リスクが高まることが判明した。

従来の研究では、以前に酒を飲んでいた人も「禁酒家」と同じカテゴリーに分類していたため、何年にもわたり飲酒とガンのリスクは過小評価されてきた。それゆえ、飲酒について誤った印象を与えてきたという。

実際のところ、アルコールが前立腺の腫瘍の成長の引き金になるメカニズムはまだ十分に解明されていない。ただ、アルコールは肝臓で発ガン性のあるアセトアルデヒドを分解するため、DNAにダメージを与える。

「今回の研究でアルコールが前立腺ガンのリスクファクターと言える証拠が増えた」と、主任研究員のティム・ストックウェル博士は語る。「アルコールは健康によい影響を与える」としている従来の研究は、「慎重に吟味」すべきだと共同研究者のタニヤ・チクリッツ博士は語る。

一方で、英国ガンリサーチのジャスミン・ジャスト博士は「アルコールは乳ガンや大腸ガンなどのいくつかのガンと関連しているが、前立腺ガンの罹患リスクを高めるか否かに関しては、それほど明確ではない。今回の研究はアルコールと前立腺ガンの関連性を示唆しているが、アルコールが前立腺ガンの罹患リスクを高めているとするには早計だ」と反論する。

ただ、「アルコールは毎年何千ものガンの原因になっているので、飲酒量を減らすのはガンのリスクを減らすにはよい方法だ」ということも付け加えており、飲酒を控えること自体がガンから身を守る術として有効な点には肯定的なようだ。

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○記事監修: 杉田米行(すぎたよねゆき)

米国ウィスコンシン大学マディソン校大学院歴史学研究科修了(Ph.D.)。現在は大阪大学大学院言語文化研究科教授として教鞭を執る。専門分野は国際関係と日米医療保険制度。

(杉田米行)