今大会初ゴールを決めるなど2得点に絡んだ堂安。切れ味鋭い突破を繰り出したタジキスタン戦では、何度も攻撃に顔を出した。写真:小倉直樹(サッカーダイジェスト写真部)

写真拡大 (全2枚)

[U-19アジア選手権・準々決勝 日本 4-0 タジキスタン/バーレーン]
 
 タジキスタン戦の前日、MF堂安律はそれまで結果を残せていなかった自らの出来を反省しつつも、自信を覗かせながらこう語っていた。

【PHOTO U-19アジア選手権】小川のゴールから4-0と圧勝し5大会ぶりの出場権獲得
 
「1試合1試合反省してやっているんで、次は良くなるんじゃないかなと思います」
 
 その言葉通り、試合序盤から軽快なプレーで攻撃を牽引した堂安は、8分に小川航基の先制点をアシスト。そして19分、待望の今大会初得点でチーム2点目をもたらした。
 
「自分のコースだと思って、練習通りに打てた」というゴールも見事だったが、なにより際立ったのが高い位置でボールを受け、バイタルエリア付近で何度もアタックを仕掛ける姿だった。もちろん、タジキスタンが自陣に引いて構えていた影響もあるが、これまでに比べると高い位置でのプレー回数が明らかに増えた。
 
 グループリーグの3試合ではやや後方でボールを受ける機会が少なくなく、サイドからカットインを仕掛けてもチャンスにつながるシーンは決して多くはなかった。そんなパフォーマンスを見た内山篤監督からは、こう告げられていたという。
 
「FWにボールが入った時に後ろでサポートすることが多かったんです。だから篤さんには『追い越せ』と指摘されていて、そこから1対1だったり、自分が仕掛けたいエリアに入って行けと言われてました」
 
 本人が明かすように、シンプルに縦を意識したプレーは確かに希薄だった。それが持ち味の突破力にブレーキをかけることになり、ひいては、サイドアタックを狙いのひとつとするチームの攻撃力低下も引き起こしてしまった。
 
 翻って、この試合ではその課題を見事に克服した。「結果を残せていなかったなかでも、使ってくれた監督に申し訳ない気持ちだった」という想いを晴らすことできたのは、「中学からお世話になっている」内山監督の助言を上手く体現できたことが関係しているに違いない。
 
「ボールを失う回数も少なかったし、行く時と行かない時の判断が今日は良かった。右SBの(藤谷)壮君を使う判断もよくできていた。そういう意味ではバランスのとれた90分間だったと思います」
 
 ようやくエンジンがかかり始めた堂安の勢いは、さらに加速しそうな気配を漂わせている。
 
 
取材・文:橋本 啓(サッカーダイジェスト編集部)