「女子高生社長、経営を学ぶ」より

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 山本一郎(やまもといちろう)です。不燃性です。

 ところで、ちょっと前まで女子高生社長を名乗っていた椎木里佳(18)が、なぜか慶應義塾大学に入学して、私の義塾の後輩になってしまいました。その後も、順調にいろんなメディアに出てはほうぼうに喧嘩を売って火柱が上がっておられ、ご活躍のようで何よりです。



 椎木の発言自体は、よく見ると「断定的」で「文体が短い」ので切っ先が鋭いように見えるのですが、実際にはそれほどの悪気もなく、単なる思い付きで喋っているわけではないようにも見えます。そういうものが見え透ける分、どうしても背後に大人の振付師がいるのではという話が出やすいのでしょうが、そこはまあ触れないでおきましょう。

 ただ、発言に関していうと若くて美人で売り出している女性が、鋭角から急降下爆撃風味の上から目線で社会時評を行い、周辺にいる人たちもみんな巻き込まれて無事不快感を覚えるという定番芸ですので、若くて美人という属性が失われ始めると、一気に商品寿命が来てしまうタイプの売り物だとすると勿体無いことです。

■早急に求められる“一芸”

 いわゆるタレントの消費のサイクルに椎木里佳が入ったかどうか微妙なところですけど、いわゆる「ノマド言論」で売り出した安藤美冬(36)が3年もたなかったこと、炎上や派手な論戦からは無縁な池澤あやか(24)が地味に客を維持していることなどを考えると、椎木里佳の場合は路線をどこにおくのかが非常に難しい。単に美人で社長、だからみんながチヤホヤという線でいく場合、お座敷芸にかかる椅子は実力派女性社長よりも、芸能人女性のそれに近いポジションになるので、どうしても「露出命」でやっていかざるを得ないわけです。

 だからこそ、椎木里佳にとって露出を維持するためにも、出世作というか「これの話を聞くならぜひ彼女に」という“一芸”を早く身に着けて、十八番(おはこ)の呼び声がかかるようにしなければならないわけですが、肝心の社長業ではしょうもないことをやらかしており、全体的に「あちゃー」という雰囲気になっています。


 まあ、丸パクリはまずいですわな。

 そんなポッと出てきた女子高生社長が、ICT業界の大向こうを唸らせるような凄いサービスやアプリを生み出せるはずもないわけでして、そこは周りにいる大人がしっかりと彼女に竹馬状のゲタでも履かせてあげないと、あっという間に馬脚を現すことになるわけであります。しかも、この騒動に懲りたのか、これといったサービスが会社から提供されている節もなく、単に「女子大生社長」という看板でメディア露出にパラメータ極振りして頑張っている図式なので、大丈夫なのかなと思います。

 少し露出を控えてしっかり義塾で勉学に励み人脈を構築するか、自分の中に積み上げるべきものをしっかりと積み上げる研鑽をしてから世に出たほうが、最終的に彼女の大成においては近道なんじゃないかと思うんですよね。業界向けの高級コールガールになるよりは、自分なりの道筋をしっかり見定めて歩いていっていただければと願う次第でございます。

著者プロフィール


ブロガー/個人投資家

やまもといちろう

慶應義塾大学卒業。会社経営の傍ら、作家、ブロガーとしても活躍。著書に『ネット右翼の矛盾 憂国が招く「亡国」』(宝島社新書)など多数

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