小学生の5人に1人が便秘に悩み、さらに2人に1人が恥ずかしくて学校では排便できないという実態が、NPO法人日本トイレ研究所が2016年6月8日に発表した調査でわかった。

子どもの便秘が、大人の女性と同程度の深刻な状態になっている。

6割の子が「友だちに知られたくないから」

日本トイレ研究所は、排せつ教育や公共トイレの整備などに取り組む民間団体だ。調査は2016年3月、全国47都道府県の小学生4833人の保護者を対象に行なわれた。便秘の定義については「排便回数が週3回未満、4回に1回以上は硬い便...」などとする「国際基準ROME3」を使用した。その結果、次のことがわかった。

(1)小学生の5人に1人(20.2%)が便秘状態である。さらに、その保護者の32.0%は子どもが便秘であると認識していなかった。

(2)小学生の2人に1人(49.7%)が「学校でウンチをしない」、あるいは「ほとんどしない」と回答した。「学校でウンチがしやすい」と感じている子は4人に1人(24.6%)にとどまった。

(3)学校でウンチをしない理由を、55.9%の子どもが「友だちに知られたくないから」などと答え、人目を気にしていた。さらに、その傾向は学年があがるにつれ強くなった。

(4)また、便秘状態にある子どもの割合を都道府県別にみると、1位が大阪府(29.8%)で、最下位が東京都(12.5%)だった。

「便意を我慢しないことが最も大切」

こうした実態について、調査報告の最後に、さいたま市立病院でこどもの排便外来を開設している中野美和子・小児外科部長が次のようなコメントを寄せている。

便秘の子どもが約20%という数字は、成人女性と同じ程度で、極めて憂慮すべきことです。便意を我慢しないことが最も大切です。学校で排便しにくいことと、教育者が排泄に無関心であることが原因になっています。子どもは慢性になると自覚するのが難しくなりますから、保護者や先生が気づいてあげなければいけません。最近は、便秘が心血管疾患と関連する可能性が報告されています。小児期の排便に大人たちが無関心でいると、成人後も同様の便秘状態が続くでしょう」