マーリンズ・イチロー【写真:田口有史】

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球団公式サイトが特集、「単打は接戦の口火を切り、得点につながる」

 マーリンズイチロー外野手が放つ「単打」が注目されている。マーリンズの球団公式サイトが「イチローが単打の価値を例示する」との見出しでリポートしている。

 今回の特集記事では近代野球において単打は本塁打や四球、出塁率、OPS(出塁率+長打率)に比べて軽視されてきたことを紹介。一方で昨季ワールドシリーズを制したロイヤルズが過去6シーズンで単打を重視する戦略を取ってきたことをリポートし、メジャーで単打の価値が高まってきている様子を伝えている。2年連続でワールドシリーズに進出しているロイヤルズはここ6年の単打数がメジャーで3番目に多く、昨年のポストシーズンでも100本の単打を記録したという。

 記事では「四球は助けになるとはいえ、ランナーを二塁から生還させることや、一塁から三塁に進塁させることはできない。これは単打を放つことで起こりえる事象」と指摘している。

 また、現役時代にシングルヒットを量産したマーリンズのマッティングリー新監督をはじめ、単打の重要性を理解している監督がいることも紹介。ツインズのモリター監督やナショナルズのベイカー監督らの名前も挙げられており、ベイカー監督は記事の中で「若かりし頃にハンク・アーロンから打球をインプレーにすることの重要性を学んだ。単打は接戦の口火を切り、得点につながる。打球を捉えることで守備にプレッシャーをかけ、様々なことが起きるきっかけを生み出す」とコメントしている。

 そんな中、単打の象徴的存在として取り上げられているのがイチローだ。

単打数はメジャー歴代7位、「歴代屈指の単打に秀でた打者」

 今季メジャー16年目を迎える42歳は史上30人目となるメジャー通算3000安打まで残り65本、またメジャー歴代最高の4256安打を誇るピート・ローズまであと43本に迫っている。

 記事ではそのイチローがここまで、1900年以降で歴代7位となる2390本の単打をマークしていることを紹介。過去にシーズン最多単打を9度記録し、日米通算3316本(NPB926本)の単打数はピート・ローズの3215本を101本も上回っているデータにも触れつつ、「歴代屈指の単打に秀でた打者」と評している。

「単打は決して本塁打ほど刺激的なものではないかもしれない。しかし、単打は勝利へつながる――。そしてチャンピンシップにさえも」。記事ではそんな言葉で締めくくられている。

 過去15シーズンで現役最多の498盗塁をマークしているイチローは単打に好走塁を絡めて数多くの好機を演出してきた。マリナーズ時代には米国内でイチローの単打に批判的な声が上がることもあったが、その価値に改めて脚光が当てられた格好だ。