「東京海上・円資産バランスファンド(毎月決算型)」(愛称:円奏会)の運用について東京海上アセットマネジメント運用戦略部シニアファンドマネージャーの山崎晃樹氏(写真)に聞いた。

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 東京海上アセットマネジメントが設定・運用する「東京海上・円資産バランスファンド(毎月決算型)」(愛称:円奏会)が、モーニングスター アワード ファンド オブ ザ イヤー2015で、バランス(安定)型部門の最優秀ファンド賞を受賞した。日本債券70%、日本株式15%、日本リート15%を基本配分比率とし、円資産のみで運用する同ファンドは、為替リスクがない。また、基準価額の変動リスクが大きくなった局面では、株式やリートといったリスク資産への投資割合を引き下げてリスクを回避する特徴がある。同ファンドの運用について東京海上アセットマネジメント運用戦略部シニアファンドマネージャーの山崎晃樹氏(写真)に聞いた。

――円資産だけで運用するバランスファンド「円奏会」がファンド オブ ザ イヤーの最優秀ファンド賞を受賞しました。改めて、ファンドの特徴をご説明ください。

 「円奏会」は、長期に投資していただける資産形成の「コア(核)」に位置付けてほしいとの想いで開発しました。安定したパフォーマンスを残すファンドを、円資産だけで運用して実現したいと考えた時、債券70%と株式等リスク資産30%の基本配分比率になりました。

 さらに、基準価額の変動リスクが高まった時には、株式やリートへの配分比率を引き下げ、短期金融資産に資金を避難させます。株式とリートへの配分比率は、それぞれ基本配分比率は15%ですが、2.5%〜15%の範囲で調整します。リスク資産への配分比率を市場環境に応じて調整することで基準価額の変動リスクを年率3%程度に抑えることをめざします。

――ファンドのトータルリターンは、2015年(1年間)に1.26%と類似ファンド分類平均を4.52%上回りました。この運用成績を残した理由は?

 ひとつには、ファンドの組み入れ資産の利回りの優位さがあります。基本配分比率を70%とする日本債券は、社債への投資をメインとしています。このため、日銀の量的質的金融緩和策の影響で急速に低下している国債利回りよりも高い利回りを確保できます。また、高配当株式は市場の平均配当利回りよりも年1%程度上回る銘柄を選定しています。足元、日本リートの平均利回りは年3%強になります。

 さらに、リスク資産への配分比率を引き下げることによって、基準価額の変動リスクを抑えた運用を実施しました。2015年は年初から日本株式、日本リート共に上昇したのですが、市場のボラティリティ(価格変動率)が高まっていたため、この間、段階的にリスク資産の配分比率を引き下げ、3月20日の段階で、リスク資産の配分比率は11.43%にまで下がりました。その後、市場が落ち着きを取り戻したことからリスク資産の配分比率を引き上げたものの、2割程度に留まっていたため、8月の人民元切り下げを起因とする世界同時株安時において、大きな痛手を受けませんでした。

――市場のボラティリティ(価格変動率)という点では、2016年に入っても株価が大きく下落する局面になっています。2016年になってからの運用状況は?

 ファンドの基準価額は2015年12月末に1万1810円だったのですが、2016年1月決算で分配金30円をお支払いし、2月8日現在で1万1954円となっていますので、年末比プラスで推移しています。

 リスク資産の配分比率は、2015年末には20%程度となっていましたが、1月29日の日銀のマイナス金利導入を受けて基準価額の変動リスクが高まったため、リスク資産の配分比率を2段階で落とし、2月5日には11.34%としています。

 この間、基本配分比率を70%に固定している日本債券については、国債利回りの低下を受けて価格が値上がりしたことから、キャピタルゲインを得ている状況にあります。