地球全体の平均気温が上昇する地球温暖化はもはや疑いのないトレンドとして存在しており、2015年11月は世界的に「過去で最も暖かい11月」だったことも判明しています。そんな中、地球温暖化の研究を進めているアメリカのNASAとNOAA(アメリカ海洋大気庁)は、2015年は「過去で最も暖かい1年」だったことを正式に発表し、同時に前年からの上昇幅が過去に例を見ないほど大きかったことを明らかにしています。

It’s official: 2015 ‘smashed’ 2014’s global temperature record. It wasn’t even close - The Washington Post

https://www.washingtonpost.com/news/energy-environment/wp/2016/01/20/its-official-2015-smashed-2014s-global-temperature-record-it-wasnt-even-close/

2015 Was Hottest Year in Historical Record, Scientists Say - The New York Times

http://www.nytimes.com/2016/01/21/science/earth/2015-hottest-year-global-warming.html?_r=2

2015 was officially the hottest year on record | Ars Technica

http://arstechnica.com/science/2016/01/2015-was-official-the-hottest-year-on-record/

加速する地球温暖化の様子を動画で表しているのが、NASAが作成した以下のムービー。1880年以降の平均気温の移り変わりをつぶさに確認できるようになっています。

Earth's Long-Term Warming Trend, 1880-2015 - YouTube

1880年から1884年までの5年間の平均気温を表すとこんな感じ。1951年から1980年の平均気温を基準として、それよりも温度が高い部分がオレンジ色、温度が低い部分が青色で示されており、1880年ごろの気温は20世紀半ばよりも低かったことがわかります。なお、最も濃い青の部分は基準よりもカ氏4度(およそセ氏2.2度)低いことを示しています。



1900年代に入った直後は、オレンジ寄りの色が少なくなり、1度は平均気温が下落傾向にあった様子もわかります。



1930年代に入ると、極北部分での気温が上昇に転じています。



1950年台は落ち着きを見せた感もある気温上昇ですが、これは比較の基準となる期間に入ったことも影響しているはず。



1960年台も、基準に対しておおむね「平年並み」といったところ。



1970年台から1980年台にかけた頃になると徐々にオレンジ色が増えだし……



1990年台は陸地のほとんどがオレンジ色、つまり平均気温が上昇した地域になってきました。なお、この統計は各地の気象データに加え、海洋ブイなどの観測装置のデータをもとに作られているとのこと。



2000年代に入るころから、オレンジ色のエリアが加速度的に一気に増えてきます。



そして直近のデータである2011年から2015年だと、陸地はほぼ完全に温暖化してしまっている状態に。かろうじて南極周辺と大西洋の一部、日本と南米の沖合に白っぽい部分が残っているだけとなっており、「温暖化の傾向がある」というレベルではないところに突入していることが手に取るようにわかります。



この温暖化は、南米のペルー沿岸にかけての広い海域で海面水温が平年に比べて上下する現象「エルニーニョ/ラニーニャ現象」と密接な関係があることもよく知られています。以下のグラフは、海水温が低いラニーニャ(青)と海水温が高いエルニーニョ(赤)を時期ごとにプロットしたものなのですが、1980年台から10年単位で見ると明らかに海水温が上昇していることがわかります。しかも2012年以降はグラフの伸びが大きくなっている点にも要注目です。



その急激な伸びがよくわかるのが以下のグラフ。NOAAとNASAがとったデータをグラフにしたものなのですが、右側のアップ部分を見ればわかるように、「2015」と書かれた点が「2014」に比べてひときわ大きく上昇していることがわかります。その伸び幅は、NASAのデータでカ氏0.23度(セ氏0.13度)、NOAAのデータではカ氏0.29度(セ氏0.16度)にも達しています。



この伸び幅は、例年であれば百分の一度程度の上下動が一般的となっていることから、2015年に見られた上昇具合が以下に大きなものだったのかがわかります。

統計からは、2015年の世界の平均気温は20世紀の平均値と比べ、カ氏1.62度(セ氏0.9度)上昇したことが明らかになっています。また、1800年台の残っているデータと比較すると、平均気温は1度以上上昇したことも明らかになっているとのこと。

地球の温暖化にはさまざまな要因が絡んでいるといわれており、その原因を特定して効果的な対策をとることは数年〜数十年レベル、下手をすれば100年単位の時間がかかるとも考えられています。これが果たして二酸化炭素の排出によるものなのか、経済活動の活発化によって引き起こされたものなのかを判断することは難しいといえますが、20世紀後半を通じて地球の平均気温は上昇を続けたこと、そして2015年にはその上昇が一気に進んだという事実は覚えておくべきことといえそうです。