あっというまに今年も12月。外食の機会が増える時期だが、会食の幹事やデートをエスコートする側になると、悩ましいのが店選び。いまや情報源が多すぎて、逆に悩んでしまうことも多いのでは?

そんななか、グルメ・レストランサイト「ヒトサラ」が、今年5月からユニークな新サービスを始めた。それが「シェフがオススメするお店」。その名のとおり、シェフたちが自分のお気に入りのお店を紹介してくれるのだ。サービスに参加しているシェフは約2900人、オススメされている店舗数は3400軒以上にのぼる(※2015年12月現在)。

複数のシェフからオススメされている店などは、まず間違いなく美味しそうだが、シェフにとって他の料理店というのは、いわばライバルでもあるはず。実名でオススメすることに抵抗はないのだろうか?

そこで、同サービスを手がけるヒトサラ編集長の小西克博さんとUSEN集客支援事業部事業部長の成内英介さん、さらにサービスにシェフとして参加している東京・代々木上原のフレンチ「セララバアド」のオーナーシェフ橋本宏一さんに、話を聞いてきた(以下敬称略)。



――シェフとして実名で他店を紹介することに抵抗はなかったですか?



橋本シェフ:とくになかったですね(笑)。自分が好きな知り合いのお店や実際に食べに行って感動した店などを紹介しています。

成内:このように、みなさん快諾してくれますね。業界を盛り上げていこうという意識もあるのかもしれません。また、本当にいい店をすすめているシェフはファンも増え、結果その店が繁盛するという好循環も期待できます。

小西:我々もお店に行ってシェフと仲良くなったりすると、「ちょっと蕎麦屋でオススメない?」なんて訊いたりしませんか。そんな感覚です。

成内:デートや会食のとき、「口コミサイトの点数が良かったからこの店を選んだ」というよりは、「○○シェフが薦めている店なんだよ」といったほうが、話も盛り上がるのではないでしょうか。

――サービスを始めようと思ったきっかけは?
小西:もともとヒトサラのコンセプトは「料理人の顔が見える」こと。お客さんにとって安心・安全というのは、シェフの顔が見えることだったり、食材をどこで仕入れているかがわかることだったり、そういうところだと思います。

成内:そこで、まずは料理人の顔が見えるサイトとしてスタートしたのが3年前。さらに、もう1歩先に行こうと、プロのシェフがお店を薦めるサービスをはじめたのが、今年5月です。ちなみにアメリカにもシェフが他の店を評価した情報が閲覧できる「Chefs Feed」というアプリがあり、大人気なんですよ。

――橋本シェフの店選びの基準は?
橋本シェフ:やはり知り合いのシェフの店に行くことも多いですね。かつて一緒に働いたことがあるシェフなら久々に顔を見にいきたいし、最近はどういう料理を作っているのかも気になるので。



――それ以外のお店だと、みるポイントは?
橋本シェフ:国内なら使い勝手のよさ。価格と味のバランスや近所であるとか。あとは職業柄、クリエイティブかどうかとかも気にします。一度行って気に入ったら何度も同じところに行くタイプなので、カジュアルでフレンドリーな店のほうが好み。うちの店もカジュアルでフレンドリー。かしこまらずリラックスしてもらいたいので、テーブルクロスもなし、ドレスコードもありません。



――レストランを楽しむコツのようなものがあれば教えてください。
橋本シェフ:情報過多になりすぎず、ニュートラルな目線を持つのがよいと思います。最近はいろんな価値観があって、人それぞれちがう。美味しいか美味しくないだけじゃなく、楽しいか楽しくないかも大切です。店に食べに行くことで、季節やアート的なものとか、何かしら感じて、楽しめるのがいいと思います」

ちなみにヒトサラは2年前のスタート時に比べて、ページ閲覧数は約3倍に伸びているそう。「シェフがオススメするお店」以外にも子連れのランチにおすすめの100店を紹介する「こどものヒトサラ」など、いろいろな切り口でお店が紹介されている。忙しい年末、悩んだときはお店選びの参考にしてみては?
(古屋江美子)