エストニアという国をご存じでしょうか? ヨーロッパ北部に位置するバルト三国のうちの1つで、今はEUに加盟していて人口は約130万人。在住する日本人はわずか100人ほどで、そのほとんどは留学生、エストニア人と結婚した方、日本大使館関係者の方々です。

私は現在、この国に韓国人の嫁と滞在しているのですが、「エストニアに住むことにした」と周囲に伝えるたびに「なんでそんな国に?!」という質問を必ず投げかけられました。正直、知名度は高くありませんが、移住するにあたり魅力的な点が多くあったのです。

エストニアを選んだ理由



移住する国の選択にあたって治安・物価・言語はもちろんのこと、「外国人でも起業できるか?」「ビザは貰いやすいのか?」といった条件も重要です。例えば、日本人に人気があるタイの場合は、外国人が起業するためには、現地パートナーを見つける必要があり、決して簡単なことではありません。

どこの国に移住するか悩んでいた時、エストニアが国策としてIT化に力を入れていることを知りました。ウェブ系の起業をしようとしていた私は「エストニアに移住して、日本に情報発信をすれば面白いのではないか」と考えました。ちなみにSkypeを産みだした国はエストニアです。

日本にある大使館に「外国人でも起業できるか? また起業ビザを貰えるのか?」と問い合わせると、すぐに「移民局のウェブに書いてある条件を満たせば可能」と返信をくれました。大学時代に訪れたとき「街並みがキレイ」「物価が安い」という良い印象もあり、次第にエストニアへの移住を考えるようになったのです。



実際に移住してみた


エストニアには片道航空券で入国しました。日本人であれば90日間ノービザで滞在可能です。入国後は事前に予約していたアパートメントに2週間滞在し、その間に長期で住めるアパートメントを契約しました。エストニアの場合、外国人であっても現地人同様に契約させてくれるオーナーが多く、これからビザを取得することをオーナーに事前に伝えて契約をしました。

その次にどうすれば起業ビザを取得できるか、警察、公証人のほか、すでに現地で起業した外国人にヒアリングを行いました。エストニアは英語もかなり通じるのですが、私はエストニア語はもちろん、英語もあまり話せなかったので日本語を勉強している現地の学生にサポートをしてもらいました。

エストニアに住まなくても会社設立が可能


現在エストニアで本格的にビジネスをしている日本人はほとんどいません。ラーメン屋やホステルを運営している日本人も中にはいますが、まだまだ少ないです。ただ私のようにエストニアに注目して、起業をスタートさせる日本人が徐々に増えてきています。また2014年12月よりエストニアは電子移住が可能となり、エストニアに住まなくても会社登記や会社運営が海外にいてもできるようになっています。

私の場合、海外移住することを友人に伝えると、「もう二度と日本に帰ってこないの?」と言われることが多かったですが、そんなに重たい話ではありません。エストニアの場合、日本から乗り継ぎ1回で行けますし、日本から往復の航空券も燃油や税金込みで7〜8万円ほどです。

さすがに子供がいるとなると大変ですが、私たちのように子供のいない夫婦や独身であれば、世界地図を広げて適当に選んだ国でも、大抵は数か月はノービザでも最低でも住めます。海外移住の最大の壁となる長期ビザの取得は、事前にネットで調査をすれば、どこの国なら取得できそうか見えてきます。もし海外移住するとなると少しでも若いに越したことはないので、興味がある人はチャレンジしてみてください。
(小野田正史)