学生の窓口編集部

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水虫というと中年以降に多いとイメージしがちですが、内科医で大阪府内科医会副会長の泉岡利於(いずおか・としお)医師は、「年齢や性別は関係ありません。若い人は靴下を履き替えない、女性はブーツを履いている時間が長いので水虫になることが多いんです。初期の段階では自分でも気付かず、菌をばらまいていることもあります」と話します。そこで、水虫の原因とうつりやすい環境について聞いてみました。

■菌が付着して感染するまでは2日以上

まず、水虫の正体について、泉岡医師はこう説明します。
水虫は、一般には水虫菌と呼ばれる、『白癬菌(はくせんきん)』というカビが皮ふの外側の角質層に繁殖する感染症です。医科では『白癬症』と言います」

水虫はうつると言いますが、どういう経路でしょうか。
「『接触感染』します。肌は約1カ月かけて生まれ変わり、皮ふの表面の古い角質層ははがれ落ちます。水虫に感染した皮ふも同様ですが、そのはがれ落ちる角質に白癬菌が潜んでいるんです。これを別の人が素足で踏むと、踏んだ人の足に白癬菌が付着して水虫に感染します。

白癬菌が付着してから侵入、感染するまでに、最低2日はかかります。この期間に、付着した白癬菌を洗い流さずに菌が角質から入り込み、繁殖しやすい環境にあると水虫になります」

繁殖しやすい環境とは、どのような状況でしょうか。
「白癬菌はカビの一種なので、高温多湿な環境を好みます。特に温度15℃以上で、湿度70%以上のときに増殖を始め、約26度以上で活動が活発になります。足は靴や靴下を履くと温度も湿度も高くなるので、白癬菌が好む環境になります」(泉岡医師)

どのような場所でうつりやすいのか、気になります。
「素足で歩く可能性がある場所はどこでも気を付けましょう。例えば、床、畳、温泉やプール、サウナ、ゴルフ場などの脱衣所、更衣室、浴場、足拭きマット、体重計、トイレやホテルの共用スリッパ、居酒屋やレストランにある掘りごたつ式テーブルの床や、靴を脱いで移動する廊下などです」(泉岡医師)

■靴下やストッキングの着用時でもうつる

靴下を履いていてもうつるのでしょうか。
「靴下やストッキングの網目は白癬菌より大きいので、予防は期待できないんです。心当たりのある場所からの帰宅時や家族に水虫の人がいる場合は、足を石けんでよく洗いましょう。特に足の指と指の間は菌が落ちにくいので、丁寧に洗ってください。また、白癬菌は湿気が好きなので、濡れたままにせずに水分を拭き取って、乾燥させましょう。

履いた靴は汗がしみ込み、付着した菌が繁殖しやすい環境になっています。連続して履かない、十分に干す、抗菌スプレーをふるなどして、毎回乾燥させましょう。

ウオーキングや登山などで長時間靴を履いている場合は、休憩時に靴を脱いで足を洗う、もしくは使い捨てのウエットティッシュなどで拭いてから携帯用抗菌スプレーを足や靴にふっておく、靴下を履き替えるなど、こまめにケアしてください。これをするかしないかで、随分と違ってきます」

水虫にかかるとかゆい」というイメージがありますが、「かゆみが出るのは、約10%と言われています。残りの90%は自覚症状がないので、知らず知らずのうちに進行しています」と泉岡医師。では、水虫かどうかはどう見分ければいいのでしょうか。

水虫の症状は、指と指の間の皮がむける、白くふやける、足の裏や側面に2〜3ミリの小さな水ぶくれができてやがて赤くなってむける、足の裏やかかとの皮ふが厚く硬くなりひび割れを起こす、爪全体が白っぽくなるなどで、いろいろな異変が起こります」(泉岡医師)

水虫はどのぐらいで完治するのでしょうか。
「症状によりますが、医療機関を受診して適切な処置をしても2カ月ぐらいかかります。その間は、自分が感染源になるわけですから、公共の場所で素足で歩かない、マイスリッパを持参するなど、気を配る必要があります。

水虫かも』と思ったときは、早めに市販薬を塗る、内科医や皮ふ科医に相談するなどしてください」(泉岡医師)

水虫菌がうつる環境は、日々、身近にあることが分かりました。予防には、多くの人が靴を脱いで歩く場所を素足で歩かない、毎日、足や足の指の間を丁寧に洗い、外出時にはマイフットスプレー、マイソックスを持参して足の清潔環境に気を配ることが大切ということです。

(岩田なつき/ユンブル)

取材協力・監修 泉岡利於氏。医学博士。内科医、大阪府内科医会副会長。医療法人宏久会泉岡医院院長。
泉岡医院 大阪市都島区東野田町5-5-8 JR/京阪電鉄京橋駅中央出口から徒歩7分
http://www.izuoka.com/