世界一カジュアル!? 人気声優の朗読付き「日本国憲法」の本

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ニュースでたびたび話題になる憲法。
日本人として関心を持たないといけない話題なのはわかるが、
このたび世界一カジュアルという『日本国憲法』(すとう彩/イラスト・宙出版)という本が発売された。かわいいイラスト入りで、しかも下野紘、江口拓也、羽多野渉といった人気声優の朗読もあるという形式。どうしてこの本ができたのかその理由などを担当編集に聞いてみた。



美大の卒業制作がきっかけ


――この本を作ったきっかけは何なのでしょう?
著者が美大で卒業制作として作ったのが最初にありまして、それが当社に持ち込まれたものです。著者が「本をつくる」という卒業制作の課題に取り組む際にいまひとつテーマがでなくて悩んでいたところ、ゼミの先生から憲法はどうかといわれ、憲法と自分の好きなものを組み合わせるアイデアが生まれたそうです。

――1年も時間がかかったのはどういう理由だったのでしょう?
学生だった著者が社会人になったので制作に時間がとれなかったりしたのと、ぜひこの企画の間口を広げたいと思った時に、声優の音源をつけたいというアイデアの実現に向け、声優さんのスケジュールをおさえるのに時間がかかりました。

――作ってみてどうでしたか?
最初に持ち込まれときには、企画はとても新鮮だと思いました。商業用にイラストを描きおろしで増やしたのですが、いざできあがってみると憲法って文字だけでも親しみやすいことがわかりました。言っていることが理想的で厳しいけれど人間でいうと非常に優しい人なんだという。
憲法にはずっと思想を高らかにお硬くうたっているイメージがあったんですが、愛情がある文章だなと知りました。著者が卒業制作をする過程で「憲法から人間愛を感じることができた」と言っていたんですが、私も制作時にすごく愛情を感じました。

予期せぬ憲法への注目


――安保法案成立見込みにあわせて企画されたわけではないんですね?
ええ。企画が最初に持ち込まれたのは約1年ほど前でした。当時から憲法改正の条件を緩めようという政治話題がありましたが、それから時間が経っていますので今のように憲法の話題がその時以上に大きくなるとは思いもしませんでした。
もともと憲法のテーマをやってみたかったのは確かですが、一年かけて準備しているうちに憲法の話題が盛り上がってきたといった具合です。

――どんな人に読んでもらいたいですか?
20歳前後の大学生になりたての人に読んでもらえればと思います。著者が「自分自身、憲法をよく知らなかったし政治的なことは私にはわからないが、確かに感じたものがあったので同い年くらいの人にそれを伝えたい。私も憲法に感じた、まさかの愛情を追体験してもらいたい」と言っていました。編集に関わった人間としても、政治的に話題になっている条文だけではなく、全文に触れてみて欲しいと思っています。人間愛がここにあると実感してもらえればと考えています。

アニメファンだけでなく、若い人に読んでほしい


――アニメファン以外も楽しめますか?
朗読のほうは、軽やかにクールに仕上がりました。声優さんがクールな口調で格好良く音読してもらっているので新しい憲法が感じられると思います。クールなのに優しい、いわゆる「ツンデレ」的な魅力を楽しんでもらえれば。
この本は政治的なポリシーを表明しているものではないので、少しでも好きな所ができたりしてくれればいい。制作に関わった20代の新人編集者も憲法の愛情に感動してしまったりと、知れば好きになる人もいることがわかりましたので、少しでも憲法を若い人に知ってもらえればと思っています。
愛情が通用する時代ではなくなっているといいますが、古いとかじゃなく今までに実際、日本を守ってきたのは憲法ですし、愛情をもって伝わってきた憲法を、まずは知ることから初めて欲しいと思っています。

なるほど愛情感じる文章なんですね。戦後70年を機にあらためてしっかり読み直したいと思います。
(カシハラ@姐御)