レッドソックス・上原浩治【写真:田口有史】

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右手首の骨折が判明、「非分離型橈骨遠位端骨折」とは?

 7日(日本時間8日)のタイガース戦で右手を負傷したレッドソックスの上原浩治投手が精密検査で右手首部分の骨折を負っていたことが発覚した。球団は日本人右腕が故障者リスト(DL)に入り、今季欠場となる見通しを発表した。

 上原はタイガース戦で9回途中に登板。キンスラーのはじき返した打球が右手首に直撃したが、三塁方向に転がったボールをすぐに掴み、気迫あふれるプレーで一塁でアウトにした。無失点に抑えて25セーブ目をマーク。試合後のレントゲン検査では、骨に異常は確認されなかったが、その後の精密検査で重傷であることが明らかになった。

 レッドソックスが公式発表した守護神の「非分離型橈骨遠位端骨折」という症状は一体どのような怪我なのか。治療法や復帰までの過程、後遺症のリスクなどについて、サッカー元日本代表MF中村俊輔(横浜Fマリノス)の専属トレーナーなどを務める入船しんもり鍼灸整骨院の新盛淳司院長に聞いた。

 耳慣れない症状について、新盛院長は「橈骨は手首の親指側から肘にかけて伸びている骨。肘から手首までに伸びている2本の骨のうち、親指側の方です。遠位端は手首側を意味します。手首に打球が直撃し、その衝撃でひびが入ったということになります」と説明する。

 レッドソックスは試合直後のX線検査で「骨に異常なし」と発表していたが、新盛院長は「小さな骨折やひびでは受傷直後のX線検査で発見できないケースも多いので、サイドのX線検査やMRI検査・CTスキャンなどの精密検査で後日発見されるケースはあります」と分析する。

「骨がくっつく状態になるまで3週間から4週間」

 今季のレギュラーシーズンは10月4日に最終戦を迎える。ア・リーグ東地区最下位に沈むレッドソックスは現時点でプレーオフ出場は絶望的な状況。球団側は上原の今季中の復帰について「なし」と見通しを発表している。

 スポーツの現場における一般的な治療法と完治について、新盛院長は「早期復帰を目指すなら、日本では一般的に微弱超音波を患部に流すことになります。早期に骨癒合が期待できると言われています。骨癒合といういわゆる、骨がくっつく状態になるまで3週間から4週間でしょう。ひびが入った場所が手首の骨と橈骨の関節内部だと骨癒合までの時間が長引く場合もあります。骨癒合を待って、本格的な筋力トレーニングなどのリハビリを再開させます。投球練習、そして、実戦復帰という流れになります。シーズン終了が10月第1週ということでしたら、球団側の発表も妥当かもしれません」と解説する。

 上原は今季43試合に登板し、2勝4敗25セーブ。セーブ機会での救援失敗はわずか2回で、WHIP0・92、防御率2・23と不振のチームで優秀な成績を残してきた。今年4月に40歳を迎えたベテランの怪我にはキャリアを左右する不安もつきまとうが、新盛院長は「今回は衝撃による骨折です。ピッチャーが苦しむ肘靭帯断裂など長年の磨耗による故障ではないので、骨折の程度にもよりますが、予後は良好と考えられます」と説明し、後遺症などに苦しむリスクは低いと分析している。

 2013年のレッドソックスのワールドシリーズ制覇の立役者となった絶対守護神は2016年シーズンまで契約を残している。フェンウェイ・パークの大観衆は背番号「19」の完全復活を心待ちにしている。

◇新盛淳司
(しんもり・じゅんじ)入船しんもり鍼灸整骨院、今川しんもり整骨院、クローバー鍼灸整骨院代表。柔道整復師、鍼灸師の資格を持ち、関節ニュートラル整体普及協会会員。サッカー元日本代表MF中村俊輔をセルティック時代から支える。ブリオベッカ浦安チーフトレーナーも務める。