腰痛でバンドを抜けたギタリスト“ギターを弾くための椅子”を開発

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ライターの職業病って、なんだろう? まず、どうしても猫背になってしまいます。だって、パソコンに四六時中向かいっぱなしだから。ということは、自ずと視力も悪くなる。あと家にこもることが多いので、人との会話が苦手になる。他にも色々あるのですが、この辺にしておきましょうか。

話はガラッと変わって、ギタリストについて。彼らの職業病には、「腰痛」が挙げられるそう。それを解消させるべく、“ギタリスト専用椅子”が開発されました。ビーズ株式会社が7月下旬より発売しているのは、その名も『ギタイス』(税別18,200円)。

「当社には、20年以上ギターを演奏している社員がいます。中学生の頃から床に座ってあぐらをかき、ギターをのぞきこむように背中を丸め練習し続けていた彼は、腰を痛めてバンド活動を断念……。『床+あぐら』はあくまで腰痛の原因のひとつではありますが、他にも多くのギタリストがこの社員のように首や背中、腰などに負担を感じていると推測し、この椅子を開発しました」(広報担当者)

きっかけは、わかった。でも、そこら辺にある椅子じゃダメなのかしら?
いや、『ギタイス』には、ギタリストに打ってつけの特徴があるんです。

1.跳ね上げ式肘掛けですぐに演奏準備



ギターを弾く時に邪魔になる肘掛けは、手で持ち上げるだけで跳ね上がるタイプを採用。演奏準備もさっと完了する。

2.上下昇降機能でプレイスタイル自由自在



上下6センチメートルの昇降が可能なガスシリンダーを搭載。座面を高くして弾き語りするもよし、座面を低くして前のめりにリードギターを堪能するもよし、自由に演奏できる。
「編曲中の仮歌であってもそこそこ良い声で収録したいもの。そんな時はギタイスを高い位置に設定し、浅く座ってください。背筋が伸び、声を出しやすい姿勢になります。逆にリードギターを演奏する場合はギタイスを低い位置に設定し、前のめりにプレイしましょう。指板を凝視できるので、メタル系テクニカルギタリストと相性がいいです」(製作担当者)

ギターのメンテナンスも、ギタイスを高くして上から見下ろすような目線にすると作業がはかどる。

3.ロッキング機能で仰け反りチョーキング



可動角約15度のロッキング機能により、ブルースなどで行われるチョーキング奏法も椅子ごと行える。座ったまま仰け反るなど、人生の憂いを思う存分表現できるだろう。

なるほど、まさに“ギタリスト専用椅子”だ。そういえばギターを弾くための椅子って、今まで存在しなかったのかしら?
「コンサートで使われるような昔ながらの演奏椅子はありましたが、ギタリストをテーマとしたデスクチェアは無かったと認識しています。初めて椅子の購入を検討するギタリストでも直感的に各部の機能がイメージできるよう、商品ページではあらゆる椅子の機能をギターの演奏と絡めてわかりやすく解説しました。例えば、椅子を後ろに傾けるロッキング機能の説明には『椅子ごと泣きのチョーキング』と命名し、従来の椅子業界では考えられない大胆な表現にチャレンジしています」(製作担当者)

ギタリストからの評判は?


同社の狙い通り、ギタリストからの受けは上々。「そんなのあるの? もう、腰痛めなくて良さそう……」「まさに求めていたコンセプト!」「値段がゼロ一つ少なくね?」等のつぶやきがTwitter上では散見され、まさに絶賛の嵐です。

「コンセプトは『いい椅子、いい音楽』。今より少し良い椅子に座り、ストレスの少ない環境でより良い音楽をつくりましょうという意味です。私がそうだったのですが、床にあぐらをかき、背中を丸めて練習していると腰や背中に大きな負担がかかります。そして演奏に熱中するあまり、疲労感に気付きにくい……。28歳で腰痛を患い、長時間集中しての演奏が困難なためバンド活動をやめてしまった私の苦い経験が、多くのギタリストの反面教師になればと思っています」(製作担当者)
なんて、悲しいエピソードなんでしょう。『ギタイス』開発の裏話は、ブルースそのものでした。
(寺西ジャジューカ)