高知南の野望を打ち破った高知小津のスターたち

 県体育大会準々決勝で勝利と夏のシード権を目前にしながら高知商に逆転サヨナラ負け。涙の中でリベンジを誓い、まずは準々決勝到達を目指した高知南の野望は初戦でついえた。

 絶対的エース・桑原 昴大(3年・177センチ65キロ・右投左打・高知県立高知南中出身)は雨天順延が続いた影響か持ち味のキレを欠き10被安打3失点。うち5回表の2失点は一死満塁からの投ゴロ本塁封殺直後の悪送球によるものであった。また、自慢の打線も4番以下がつながらず1回裏に敵失、6回裏に押し出しで得た2得点に留まることに。実力校が力を出し切れず終わる。これが夏の怖さなのであろう。

 その一方で、高知小津は120%以上の力を出し切った感がある。大会前には左打席から一塁駆け抜け3秒62のスイッチヒッター・1番の又川 和斗(3年・中堅手・167センチ63キロ・右投両打・須崎市立須崎中出身)に話題が集まったが、この試合ではさらに2つのスターが輝いた。

 1人は又川の後を打つ「2番・三塁手」の永野 颯希(164センチ61キロ・右投両打・香南市立夜須中出身)。4打数3安打1犠打2得点という成績以上に圧巻だったのは7回表である。

 二死から中前打で出塁した後、桑原が制球に苦しんでいると見るや次打者の3球目にすかさず二盗を成功。さらに3番・林 祐斗(遊撃手・3年・右投右打・169センチ63キロ・高知市立介良中出身)の浅い右前打で判断よく二塁から生還。捕手のタッチをかいくぐり左手でホームを掃く決勝点は匠の技すら感じさせた。

 もう1人は春の県大会は1回戦で室戸に9点を失って敗れたエース・中澤 直杜(3年・174センチ74キロ・右投右打・香南市立野市中出身)である。右サイドから最速130キロのストレート、スライダー、そして90キロ台のスローカーブをしっかり腕を振って投げ、131球8安打完投。130キロを最終回2度出すなど、しり上がりに調子を上げたことが、高知小津の3年連続初戦突破に直結している。

 2回戦の相手は高知西。高知南戦で輝いたスターたちが再び光を放てば、2010年以来5年ぶりの8強入り、そして高知南の無念を引き継いでの9年ぶり4強も決して夢ではない。

(文=寺下 友徳)

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