須磨翔風と三田松聖との勝負を分けた8回の攻防

 朝から降り続く雨は、次第に粒が細かくなり降り止まないものの試合が開始されたのは、ほっともっとフィールド神戸の第1試合の須磨翔風vs三田松聖の試合。

 今春の兵庫県大会で4強入りした須磨翔風と、今大会は2試合を戦い20得点で失点は1の攻守のバランスが取れた三田松聖との一戦は、序盤に須磨翔風が先制するも終盤に三田松聖が追いつくも8回に再び須磨翔風が勝ち越しに成功し逃げ切ったという内容であった。安打数だけを見れば、須磨翔風は7安打だったのに対し三田松聖は10安打と上回る。何が勝利に結びついたのか、試合を振り返っていく。

 須磨翔風が先制点を得たのは2回の攻撃。一死から7番・樋口 勇次が中前安打で出塁すると、9番・森 匡暉の打球が野選となり二死一、二塁のチャンスが生まれる。ここで1番・片山 涼雅に打順が回る。片山が外野に打ち上げた打球は、試合開始時から吹き続ける強風の影響か落球し、その間に2人が還る。

 意外な形から先制に成功した須磨翔風は、3回にも二死一、二塁の場面で7番・樋口がフルカウントまで粘りライト線へ打球を運び1点を追加する。

 これ以降は、須磨翔風・先発の才木 浩人と、三田松聖・先発の松本 侑也の好投が安打を許すも要所を締め、どちらも一歩も譲らない姿勢が窺えた。

 6回に須磨翔風の4番・坂下 遼太郎の左前への適時打で4点目を加え、完全に須磨翔風に流れが傾いたかに思えた直後に三田松聖が反撃に出る。5番・稲富 宏樹から始まった7回の攻撃では、稲富が右翼線への2塁打で出塁すると、四死球が重なり満塁のチャンスを作る。ここで9番・塚元 裕也が右翼線へ打球を運び、これが適時2塁打となり、まず2点を返す。続く1番・福山 昴太も右翼線への適時3塁打で2点を返し、これで試合を振り出しにした。

 しかし、須磨翔風は8回に3者連続で四球から二死満塁の好機を迎える。ここで5番・安田 快人が中前へ打球を弾き返し勝負あり。2点を再びリードした須磨翔風は9回表の攻撃を0に抑え6対4で勝利した。

 須磨翔風は、四死球や相手のミスからチャンスを作り確実に走者を還せていた点が勝負を分けたのではないかと感じる。また得点の大半が二死から奪ったもので、粘り強さがよく現れた試合であった。

(文=佐藤 友美)

関連記事・第97回全国高等学校野球選手権大会特設ページ・あの学校の取り組みは?!兵庫県の野球部訪問を一挙紹介!・夏よりも熱い!全国の野球部に迫った人気企画 「僕らの熱い夏2015」