序盤の苦戦もきっちり勝ち切る慶應義塾、準々決勝進出!

 強烈な日差しはもちろん、風もますますその威力を増し土埃を舞い上げているサーティーフォー相模原球場での第2試合は、慶應義塾と山北の対戦。慶應義塾は2回戦から出場するとここまで高い攻撃力で危なげなく勝ち上がってきた。上田 誠監督のラストイヤーということもあり、この大会にかける思いは強い。一方の山北は、1回戦から4回戦まですべて県立勢を相手に勝利を重ねてきた。この試合が、この夏私学との初対戦となる。

 試合は、慶應義塾・木澤 尚文、山北・伊藤 大悟の両先発で始まった。初回、山北は1番・野地 啓悟が死球で出塁。2番・富田 大輔が送った後二死二塁から4番・杉山 武が内野の頭をふわりと越す内野安打で出塁し二死一三塁とチャンスを広げる。ここは後続が三振に取られ得点にはならなかったが、真っ向から勝負を挑む姿勢を早々に見せる。

 一方の慶應義塾だったが、序盤は伊藤の前に完璧に抑え込まれる。ヒットはおろか1人の走者も出せないまま打者は一巡。4回裏を迎えた。そしてこの回先頭・大串 亮太がエラーで出塁。するとここまで3試合で30点を挙げている強力打線がプレッシャーを押し出してくる。二死二塁から4番・亀川 泰輝のタイムリーを皮切りに5番・山崎 隼人がヒットでチャンス拡大、6番・木村 洋介は2点タイムリーと3連打でこの回3点を奪う。さらに6回にも6番・木村、9番・木澤 尚文のタイムリーで2点を奪い差を広げる。

 初回チャンスを得た山北だったが、その後は慶應義塾先発・木澤の前に沈黙。初回の杉山以来の走者が出たのは、8回表だった。一死から7番・内田 萩が四球を選び出塁すると、スタンドとベンチは大盛り上がり。やや沈んでいた空気が少し動き始める。そしてここで代打・阿久津 慈英がレフトへヒットを飛ばす。木澤から初めて奪った「ヒットらしいヒット」に山北ナインは奮い立つ。だがそれがやや勇み足となったのか、続く打者のセンターフライでランナーが戻れずにスリーアウト。チャンスを生かしきれない。

 その裏、慶應義塾は試合を決めに来る。一死から7番・植田 将大がヒットで出塁し、ワイルドピッチで二塁へ進む。ここで代打・綿引 達也がタイムリーを放ち、6対0とコールド成立まであと1点と迫る。さらに綿引の代走で出た大川 弘太郎が盗塁を決め、さらにプレッシャーを与え、山北を揺さぶりにかかる。代打・後藤 裕一郎もヒットで続くと、1番・大串 亮太は四球を選び一死満塁に。ここで打席には、前の回にセンターオーバーのスリーベースを放っているキャプテン・宮田 皓。緊張感が高まるこの場面だったが、結末はあっけないものだった。押し出しの死球。これで7対0となり、慶應義塾が準々決勝進出を決めた。勝った慶應義塾、次は横浜スタジアムで桐光学園との準々決勝に挑む。

(文=青木 有実子)

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