終盤追いつかれ苦しい展開だった横浜が最後は押し出し死球の1点を守りきる!

 いよいよ激戦区・神奈川大会も5回戦を迎える。サーティーフォー保土ヶ谷球場での第一試合は横浜vs藤沢翔陵。毎度のことだが8時半の開門と同時にこの日も球場には大観衆が詰めかけた。

 今大会未だに失点を与えていない横浜の先発は長身左腕の春日井 静斗。しかしこの試合、無失点を続ける横浜投手陣から先制点を挙げたのは藤沢翔陵であった。2回表、安打と相手のミスで二死二塁のチャンスを迎えると8番・星川 晃希がタイムリーを放ち、1点を先制。なおも続く得点機に9番・長谷川 拓郎が左中間へ安打を放った。この際に横浜には珍しい中継ミスがあり、その間に走者の星川が一気に生還。藤沢翔陵が2点を先制した。前の試合好調だった打者を上位にあげるなど、横浜を倒すための万全の策をとってきている。

 思わぬ形で先制点を許してしまった横浜もすかさず反撃。3回裏、横浜はチャンスで4番・公家 響にタイムリーが生まれ1点を還す。続く4回裏には安打でチャンスを作り、二死満塁と絶好のチャンスを迎え、3番・三河 聖夫が藤沢翔陵の中西 悠馬が投げた変化球を捉えてこれが2点タイムリーとなり、横浜が3対2と逆転に成功した。

 なおも横浜は攻撃の手を緩めず、5回裏には4番・公家 響の本塁打、6回裏にも二死一、三塁で5番・右翼手で先発出場の石川 達也が強襲安打を放ち、1点追加。この回2点追加した横浜が6回裏終了時点で5対2と3点差にリードを広げる。

 7回表途中からは横浜もエース右腕・藤平 尚真をマウンドへ。各打者がよく振れている藤沢翔陵はこの回内野ゴロの間に1点を加え、さらに続く8回表のチャンスでは9番・長谷川が藤平からタイムリー安打を放ち、4点目。今度は今大会絶好調の1番・嶋田 直人が速球を右にライナーで弾き返すと、横浜の右翼手・石川がダイビングキャッチを試みるが及ばず。転々と転がっていく間に走者の長谷川が一気に生還。藤沢翔陵が猛攻を見せて5対5と遂に同点に追いついた。会場のボルテージは最高潮に。

 8回裏、守りたい藤沢翔陵だが途中、遊撃手からマウンドに上がっている森山 孔介が制球に苦しんでしまい、3四死球を与えて一死満塁のピンチを作ってしまう。5番・石川は打ち取ったが、6番・山田 知樹に死球を与えてしまい、押し出しで横浜が逆転に成功。

 最終回は藤平が藤沢翔陵打線を3人で抑え込み試合終了。守り切った横浜が6対5で藤沢翔陵を降し、5回戦突破を決めた。

 惜しくも敗れてしまった藤沢翔陵ナインだったが、横浜を終盤まで追いつめる戦い振りにはスタンドからも大きな拍手が送られた。この粘りは今秋以降にも必ず生かされることに違いない。

勝った横浜だがこの試合は強風もあってか、なんと5失策。このミスが得点に繋がってしまったことから終盤まで接戦に。それでも渡辺監督を甲子園で花道を飾るまで負けられないというナインの執念や心意義を感じれるような見応えある試合であった。

(文=高校野球ドットコム編集部)

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