仙台育英が2年ぶりに甲子園へ

 仙台育英と古川工による甲子園出場を懸けた最後の戦いは、13対0で仙台育英が勝利。2年ぶり25度目の甲子園キップを手にした。

 仙台育英も古川工も先発投手はエースだった。1回表、古川工の攻撃。仙台育英のエース・佐藤 世那は前日の準決勝 (試合レポート)で初回に1アウトも取れずに降板していた。そのやりきれない思いを払拭するかのように、1番・柳澤 飛鳥、2番・今野 一真から空振り三振を奪う立ち上がり。3番・佐藤 宏太郎もセカンドゴロに打ち取り、走者を出さずにスタートを切った。

 一方、古川工・佐藤も無難な立ち上がりを見せる。宮城大崎リトルシニア時代のチームメートである1番・佐藤 将太をショートゴロに打ち取ると、2番・青木 玲磨を見逃し三振、3番・平沢 大河をセンターフライに抑え、こちらも三者凡退でスタートした。

 2回表、佐藤世は2死後、6番・斎藤 淳史にファウルで粘られ、四球を与える。嫌な感じがしたが、7番・鹿野 魁平から三振を奪い、崩れなかった。

 2回裏、仙台育英は三者凡退に倒れたが、3回裏、強力打線の片鱗を見せる。1死から8番・谷津 航大が、この日、両チームにとって初となるヒットをレフト前に放つ。9番・佐藤世が犠打を決めると、二走・谷津は暴投で三塁へ。2死1塁で1番・佐藤翔がライト前にタイムリーヒットを放ち、仙台育英が先制した。

 そして、5回だ。この回、先頭の9番・佐藤世が右中間に二塁打。自らのバットでチャンスを作る。1番・佐藤将がレフトに弾き返し、無死1、3塁とすると、2番・青木がレフトにタイムリーヒット。ここで古川工は先発したエース・佐藤からレフトを守っていた2番手、背番号10の鹿野に交代。佐藤がレフトに回った。

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 古川工としては流れを断ち切りたかったが、迎えるバッターは3番・平沢 大河。今大会、決して調子が良いとはいえない平沢だったが、左中間に上手く打ち返し、2点タイムリー三塁打。これで仙台育英は流れを完璧につかんだ。4番・郡司 裕也もセンター前にタイムリーを放ち、5番・佐々木 良介もレフトに流し打ちと、なんと6連打。6番・紀伊 海秀は見逃し三振となったが、7番・佐々木 柊野もライト前ヒット、8番・谷津 航大が四球で一死満塁とした。打者1巡で再び、佐藤世がバッターボックスへ。1ボールからの2球目。打った瞬間にそれと分かるレフトへのグランドスラム。昨秋以降、苦しんできた男の一撃はチームに勇気を与えただろう。

 古川工は満塁弾の後、鹿野 魁平から手島 潤也に代えたが、仙台育英打線はつながる。走者がいなくなったが、1番・佐藤 将太がライト前にヒットを放って出塁。2番・青木 玲磨が投ゴロで二死二塁となると、3番・平沢、4番・郡司が連続四球。5番・佐々木良への初球が暴投となり、さらに1点を追加した。結局、仙台育英は5回に一挙、10点を入れた。

 古川工は7回に1死満塁と得点チャンスがあったが、連続三振に倒れ、ホームは踏めず。8回にも2死から3番・佐藤 宏太郎が二塁打を放ったが、ホームは遠かった。

 7、8回にも1点ずつを加えた仙台育英。先発・佐藤世は1日で修正した姿を見せたが、さすがに後半はピンチもあり、今大会を支えた百目木 優貴にどこかで代わるだろうと予想された。案の定、9回は百目木が登板。空振り三振、投ゴロであっという真に二死を奪う。しかし、古川工もただでは転ばない。代打・相澤 秀人がカウント3ボール2ストライクから3球、ファウルで粘り、球場もどよめく。最後は四球となり、代走大内 匠が送られた。二死一塁。8番・渡辺 彰太はストライクボールを全てファウルにし、粘りを見せたが、打球はライトへ。仙台育英のキャプテン・佐々木柊の元へウイニングボールは飛んでいった。

 スコアを見れば、仙台育英の快勝だ。しかし、ゲーム内容は古川工の各打者が随所に見せ場を作り、5回こそ猛攻にあったが、投手陣も他のイニングは奮投した。宮城大会決勝は、13対0という数字を感じさせない、好ゲームだった。

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