熊谷商、薄氷の勝利!所沢中央の猛烈な追い上げ、一歩及ばず

 この日の埼玉は快晴。一時有った雲も球場上空にはまるで見えない。第1試合から熱戦が続くこの日のさいたま市営大宮球場。第3試合は、熊谷商と所沢中央の対戦だ。両チームとも1回戦から出場。熊谷商は1回戦は児玉白楊を15対0、2回戦は杉戸農を17対0と猛打で下した後、3回戦でも久喜北陽との打ち合いを7対5と制しこの4回戦に進んできた。所沢中央は、1回戦は入間向陽を6対2と下し、2回戦では大宮工相手に2対1と接戦を演じ、3回戦では桶川西に8対3と快勝。しぶとさと勢いを併せ持っている。

 試合は初回から動く。1回裏、一死一塁から3番・水野 葵が左中間を破るスリーベースを放ち、1点を先制。さらに満塁とすると、6番・水野 昌人のタイムリー、7番・吉永 聡の犠牲フライでこの回3点を挙げる。さらに2回にも相手のエラーと5番・福田 俊祐の太陽を味方につけたタイムリーで3点を追加。2回を終わった時点で6対0と大きくリードする。

 だが、しぶとい所沢中央は落ち込むことは無い。3回表、ヒットと四球で一死ながら満塁を作り出すと、押し出しでまず1点。さらに5番・西澤 翔のスクイズが決まり、さらに相手のエラーも誘い2点を追加。3点を返し追い上げムードを高める。

 だがこれ以降、両チームとも得点することができない。6回に熊谷商がワイルドピッチで1点を追加するが、あと1本が出ない。

 そんな膠着状態が続いた8回表。所沢中央はこの回一死から4番・大原 悠生がレフトへホームランを放ち7対4と再び3点差に追い上げる。そしてこれが、熱戦続きですっかり日も陰ったさいたま市営大宮球場が劇場と化す合図だった。

 所沢中央は続く5番・西澤が四球で出塁。その後二死となるが、ここで所沢中央は184センチ132キロというロマンあふれる体格の代打・五十嵐 雄大が登場する。五十嵐は期待に応え軽々とセンターへヒットを飛ばす。これには球場は大盛り上がりで一気に所沢中央に流れが傾く。続く赤崎 海斗がタイムリーを放ち2点差。満塁から1番・林 泰我がガッツポーズとともに押し出しを選び、遂に1点差に詰め寄る。だが熊谷商も必死だ。続く2番・沼田 悠希のサード後方、ファウルゾーンへの当たりをサード・吉永 聡が勢いよく追いかけ、ファウルフライにする。これでスリーアウト。熊谷商は何とか1点差に押しとどめることに成功する。

 9回表、球場が異様な雰囲気に包まれる中、所沢中央最後の攻撃が始まったが、熊谷商ナインは投手の水野 克俊をはじめ落ち着いていた。先頭打者を三振にとると、次はピッチャーゴロ。最後はショートへのフライをこの回から守備に入ったショート・大沢 啓介がダイビングキャッチで捕球し、スリーアウト。熊谷商が7対6で逃げ切りに成功した。

 試合終了の挨拶の後、激闘を演じた両チームの選手たちはがっちりと抱き合い健闘をたたえあった。そして、球場からも万雷の拍手が選手・スタンド全員に送られた。

(文=青木 有実子)

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