厄介な創業メンバーに呪縛される ベンチャー企業の「お友達経営」
ベンチャー企業といえば、仕事が厳しいあまり辞めていく人が多く、「熾烈な生存競争」が繰り広げられるイメージがある。そこで役員になる人は、ビジネス雑誌などで取り上げられ、「優れ者」といった印象を世間に与える。
しかし、役員の中には「厄介者扱い」を受ける者もいる。なぜかそういう人ほど長く会社に居座り、20〜30代の優秀な社員を潰してしまうこともある。社長を中心とした経営陣の中に、「互助会」のようにお互いを支え合い、助け合う「妙な構造」があるからだ。本連載第16回でもベンチャー企業の経営層が抱える課題を指摘したが、息の合う中途採用者ばかりを重用するあまり、プロパー社員がやる気を失ってしまうケースもある。要は、経営者の「お友達意識」がいつまで経っても抜けないのだ。
悪くすると、たとえ経営者自身が現体制に危機感を持ち、経営改革を進めようとしても、創業メンバー間の過去のしがらみによって大鉈を振るうことができず、会社の成長が抑制される場合もある。こうなると、「お友達経営」の呪縛と言える。
このあたりの事実は、ビジネス雑誌などではなかなか指摘されないことだが、ベンチャーで働く人、あるいはベンチャーへの転職を考えている人は知っておくべきことではないだろうか。今回は、そんな会社の思惑が透けて見えるエピソードを紹介しよう。
1000万円の報酬をもらいながら
年収350万円の新人と働きが同じ監査役
この会社のホームページには、1枚の写真が載っている。40人近い社員が写っていた。数年前、ホテルでの忘年会を終えた後、写したものだという。酔いが回っているのか、笑顔が多い。平均年齢20代後半の中に、4人の中年がいる。その中に、心霊写真のように影の薄い男がいる。その意味では、ひときわ目立っている。
この会社は、2007年に、4人の「中年」がそれぞれ500〜1000万円ずつ出し合い、創業した。4人は別々の会社にいたが、2004年にマーケティングリサーチ関連の大きなプロジェクトを通じて知り合った。すぐに意気投合し、起業の準備を始めた。
当時から今にいたるまで同社をリードする中核となっているのが、現在30代後半の社長だ。ここ数年は、ベンチャー企業の特集を組んだ雑誌などで紹介されるようになっている。社長を支えるのが30代半ばの取締役2人、そして1人の常勤監査役だ。しかし、創業から数年はともかく、社名を変えた2011年頃から、4人の間では不協和音が聞こえ始めた。元凶は常勤監査役だった。
監査役の名は宮本。現在47歳。創業メンバーの中で、たった1人の40代だ。しかも、他の役員の平均年齢よりも10歳近く上で、50代が見えつつある。いまだ独身だという。
