市立川越vs星野
地元人気校が相次いで登場ということと、日曜日ということもあって、スタンドは早くから多くの人が詰めかけた。両校応援席やネット裏はもちろんのこと、外野席も多くの人が入った。川越商時代からの後援組織である“蒼球会”という帽子を被った人も多く詰めかけていたのが、三塁側の市立川越だった。
これに対して星野も川越市内にある学校で、星野女子の時代が長く、女子ソフトボールでは何度も全国制覇を果たしている。昨秋、今春と県大会で準優勝を果たしている川越東とは系列校である。率いる飯野 勝監督は、川越東の阿井 英二郎前監督、渡辺 努現監督と同じ東農大二(群馬)の出身である。女子ソフトボールに負けるなと、野球部も頑張っていきたいところであろう。昨年の埼玉大会準優勝校で、甲子園まであと一歩に迫った市立川越。今年のチームは春季大会では、ロースコアの守り勝ちという試合が多く守りのチームという印象だった。それが、6月の練習試合あたりから、北村君を1番に据えたことによって、打線に勢いがつくようになってきた。
この日も、初回その北村君がいきなり中越二塁打。バントなどで二死三塁となったところで、4番野原君が二塁手横への内野安打で先制した。2回には、四球と7番中祖君の二塁打で二、三塁としたところで、8番の登坂君が巧みに流し打って、三塁手のグラブをかすめる二塁打で二者が帰った。さらに、上位へ戻って北村君、前村君の連続二塁打などもあってこの回4点。
3回にも、バットコントロールのうまい登坂君が三遊間を破るタイムリー安打で、さらに追加点を挙げて主導権を握った。そして、5回には、打者10人で、星野の神庭君をリリーフした染矢君、安藤君も攻めて、打者10人で四死球3、4安打で6点を奪って試合を決定づけた。
市立川越の登坂君は、初回と5回、先頭打者に簡単に安打されるという悪い癖は出している部分もあったが、持ち味を生かした投球だったといっていいだろう。ただ、この日はむしろ、左打ちの打者としてのうまさのほうが光っていた。そして、最後の一人となったところで、新井 清司監督は、191cmの長身投手、永光君を投入するなど、慎重だった。このあたりは、先の戦いも見据えながらの次への準備という意識もあったのではないだろうか。星野は、いいところなく敗れてしまった。しかし、下級生も多く、これからのチームを作っていくということでは期待が出来そうな雰囲気は十分に持っていた。
(文=手束仁)
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