柴田農林が15得点を挙げ3回戦へ

 柴田農林対南郷。どちらも部員数は少ない。大会パンフレットによると、柴田農林の選手は12名。南郷は10名である。なかでも柴田農林は人数の少なさを感じさせない元気なシートノックを見せた。南郷は最初に全員が内野でノックを受け、その後、外野手が外野へ。試合のボールボーイなどで補助を行う仙台育英のベンチ外部員にも手伝ってもらいながらのシートノックだった。

 1回裏、柴田農林の1番・加賀 光が三塁手のエラーで出塁。2番・橋本 康太がライトへフライを打ったが、右翼手が落球し、無死一、二塁とした。3番・森 大樹のライトフライで二走・加賀が三塁へ。4番・佐藤 克也へ初球を投じる前に南郷の先発・今野 生弥がボークをとられ、加賀が先制のホームを踏んだ。この回は失策も絡んで、柴田農林は2点を奪った。

 2回には7番・小斎 哲哉がライトオーバーの三塁打を放つと、9番・大河原 隆也の犠牲フライで追加点を奪う。さらにタイムリーヒットやスクイズで得点を重ねていく。3回にも長短打を絡めて5得点。4回には7番・小斎、代打・遠藤 慎哉、9番・大河原の3連打で無死満塁とすると、1番・加賀の打球がセカンド頭上をライナーで抜けた。打球は外野を転々とし、その間に加賀は一気にホームへ。ランニング本塁打となった。

 こうして4イニングで15得点を挙げた柴田農林が3回戦に駒を進めた。

 一方の南郷は、単独廃校ルールが適用され、3年ぶりに出場した。正規部員は、3年生の小野 麗也主将と1年生の加藤 大幾の2人だけ。助っ人を募るも、9人がそろわず、小牛田農林から4人を借りた。大会パンフレットの南郷の欄には「※背番号2・4・7・8の選手は小牛田農林高校の選手です。」と説明書きがある。この日の試合には、小牛田農林の選手たちも駆けつけ、応援の陣頭指揮をとって盛り上げていた。

 2回の攻撃では、4番を打つ加藤がレフトとセンターの間にチーム初安打を放ち、5番・横山 璃央が四球で無死1、2塁とチャンスを作った。6番・橋本 凌は犠打を試みたが、三塁フォースアウト。後続も断たれ、得点には結びつかなかった。3回には1死から小野が死球で出塁。2番・今野が犠打で二塁に進めたが、やはり、得点には至らなかった。しかし、4回、この回、先頭の加藤が左翼線に二塁打を放つ。5番・横山が犠打をきっちりと決めると、6番・橋本もスクイズを決め、待望の1点を挙げた。さらに、5回には1死から9番・高橋 晃がセンターオーバーの打球を放つと、守備がもたつく間にホームイン。この時、会場は拍手喝采となった。南郷の選手と助っ人の生徒、そして、小牛田農林の1年生4人で挙げた2点は、彼らの宝物になるだろう。

(文=高橋 昌江)

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