【インタビュー】岡田将生「いつか僕も自分らしいリーダーになれたらいいなと思います」
極秘機関の実験により、生まれながらに特殊能力を持った二組の若者たちの戦いを描いた本多孝好原作「ストレイヤーズ・クロニクル」を映画化。岡田さんは染谷将太さん率いるチーム“アゲハ”と戦うチーム“スバル”のリーダー昴を熱演。
本格アクション初挑戦の心境と、若手俳優と過ごしたことで感じた最年長としての“リーダー”のあるべき姿とは、これから目指す俳優としての道について。想いをじっくり語ってくれました。
――今回「本格アクション初挑戦」ということですが、出演の決め手、動機はどこにありましたか?
岡田:また瀬々監督と一緒に仕事をしたかったんです。監督がアクション作品をやることに正直ビックリしたんですけど、僕もアクションは初挑戦だし監督も挑戦だったと思うので、頑張ってついていこうと思っていました。
アクションは毎回新鮮でした。練習の時にどういう風に見えるのかビデオで撮ってもらって確かめていたんですけど、腰の入れ方、足の角度だけで全然見え方が違うんです。実際のアクションというよりは映画的に「見せるアクション」に重点をおいて動いていました。でもアクションをしている自分を見るのは不思議でした。「へぇ〜」って思いながら見ていました(笑)。
――“3秒先の未来が見える”超視覚の能力を持つ「昴」というキャラクターについてはどんな印象を持ちましたか?
岡田:本当に優しい青年でありながらすごく葛藤している人。
物心ついた時から一緒にいるチームスバルの仲間をどう支えて、どう生きて行くか、どう敵と戦っていくかを考え、自分の正義を貫きながらも常に模索して生きて行く人、という印象です。昴が特殊な能力を持っている、とかは関係なく、普通の人も悩みながら生きているし、結局は変わらないですよね。だからすごく共感できました。
監督からは「ずっと葛藤していてほしい。(気持ちも)揺れていて」と言われていました。苦しかったですけど僕を支えてくれるチームスバルがいたのですごく助けてもらいました。
――チームスバルの“リーダー”として現場で意識していたことはありましたか?
岡田:常に一緒にいようと思っていました。瀬戸(利樹)君や清水(尋也)君とは結構年が離れていたので話がついていけなかったりしたこともありましたけど(笑)、(成海)璃子ちゃんと一緒に彼らとコミュニケーションをとるようにしていました。2人が璃子ちゃんをずっと“お姉ちゃん”と慕っていたので3人の会話を聞きながらずっと一緒にいました。
今回僕が一番年上だったので、自分のことよりも心配になるというか、「今、何考えているんだろう?」「今、やりづらかったのかな?」とかすごく敏感に感じるようになってました。今までそういうことがなかったので新しい感覚でした。
――超記憶を持つ良介役の清水さんは15歳ですが、ご自身の15歳の頃と比べていかがですか?
岡田:全然違いますね。清水君に映画の現場の話を聞いたら、すごい現場をくぐってきているなと思いましたし、映画が大好きなのはもちろんですけどちゃんとその先も見ているし、歳は関係なく尊敬しました。
――若い役者と共演することで自分の演技への気づきなんかもあったりするものですか?
岡田:そりゃ〜ありますよ!(笑)。「なんか俺、ひねくれちゃったんだなぁ」とか思いました(笑)。でも僕は僕なので、いろんな現場で学んできたことを、これからやらせていただく監督含め、対応できるように、自分がしたいと思うことができる人になりたいですね。
――これからは先輩として頼られる面も増えたり、年下の方との芝居も増えてきますね。
岡田:伊原(剛志)さんとか(石橋)蓮司さんとの芝居になった時に蓮司さんに「現場はどうなんだ?」と言われて「僕が一番年上なんです」と言ったら「お前が一番年上なのか!どういうことだ!?」と言われて(笑)。「お前ちゃんとやってるのか!?」「ちゃんとやってる…つもりです」って言ったんですけど、そのやりとりが不思議でしたね。今まで僕がずっと一番下だったので、皆さん心配してくださって(笑)。
現場では「人間的にもっとしっかりしないと。ちゃんとしないと」とはずっと思っていました。でも……“ちゃんとする”ってどういうことなんでしょうね? 「ちゃんとしてる人」なんて本当にいるんでしょうか(笑)。
でも、そういうことを意識している人が“リーダー”と言えるのかなって思います。
――岡田さんなりの“リーダー”の形が作れるんじゃないですか?
岡田:今まで主役になる方々の背中を見させてもらってきて自分も、「こういう人になりたい」と思うことはもちろんあったし、いいなと思った“いいもの”だけをちょっとずついただいて今自分の中に取り入れているので、いつか僕も自分らしいリーダーになれたらいいなと思います。
僕は自然と人が集まってくる、“この人について行きたい”と思う背中をしている人がリーダーとして素敵だなと思います。
――瀬々監督もそんなリーダーの1人?
岡田:監督の、いつ死んでもおかしくないぐらいのテンションで芝居をつけて集中して現場をひっぱっていく姿がすごく好きなんです。監督はすごく恥ずかしがり屋で不器用なんですけど、そこがすごく人間っぽくて。映画を身を削りながら作っている姿がすごく素敵でかっこいいなと思うんです。「ああいう風になりたい」と思ってる自分がいるのかもしれません。
――いきなりですけど、岡田さんに劇中のような特殊能力が持てるとしたらどんな能力がほしいですか?
岡田:僕は…暗記ができる、セリフをパッと覚えられる人になりたいです。覚えるのに結構時間がかかる方なので。
――“これは他の人に負けない”という能力はありますか?
岡田:今まで本当にいい監督、俳優さん、スタッフさん、作品に出会えてきたので、
“めぐり合う能力”みたいなのは負けない所ですかね。
――俳優としての約10年の間にご自身で何か変わったと思うことはありますか?
岡田:僕、エンターテイメントが前は苦手だったんです。ハッピーエンドで終わるのがあまり好きじゃなかったんですけど、ここ何年かで出会ってきた人たちにエンターテイメントの面白さを教えてもらって自分から進んで見るようになったのはすごく変わったなと思います。今はワクワクしたり、観終わった後スッキリしていたり、“いい時間だったな”って思うんです。
――それは作り手側にまわったからでしょうか?
岡田:「こういう道があるんだぞ」と示してくれる先輩たちがたくさんいたからだと思います。僕もちゃんと「視野を広げて見ないと」と思いました。
作品や人に出会うことで自分が変わっていくことも大事だなと思いました。「変わりたくない」と思っていた自分がすごく小さいなと思うきっかけになりました。
――この作品を通過して、これからの俳優としてのビジョンなど描いていることなどはありますか?
岡田:やっていないことをやっていきたいです。怖いですけど怖がらず。失敗してもいいという気持ちで。今回も挑戦するのは即答できるものではなかったですけど、飛び込むことはとてもいいことだとは思っています。今回アクションを経験したことでアクションを知れたし、これを含めて今後さらに違うアクションが出来たらいいなと思いました。
今回一番年上としてやらせてもらいましたけど、今後こういうことが増えていった場合の経験として本当に学ばせてもらって吸収できるものもたくさんあったので新しいことにはどんどんチャレンジしていきたいなという気持ちは今回の作品を経てさらに思いました。
セーフティーなとこばかりにいてもつまらないですからね。僕の中で毎年、何かに挑戦しようと決めてはいます。でも、時にはセーフティーな方にも行きますけどね(笑)。僕は強い人間じゃないので毎回厳しいとこ通ってたら毎日家帰って泣いてますよ(笑)。でも、セーフティーなことを超えて頑張ろうという気持ちは歳を増すにつれて強くなってはいます。
――いろんな「挑戦」を経て完成した本作ですが、ご自身でご覧になってみて率直な感想はいかがでしたか?
岡田:素直に本当に面白いなと思いました。「アクション」とは言ってますけど、若者がひとりひとり悩みながら生きている姿がすごい美しいなと思ったし、儚いなと思ったし、エンターテイメントとしてアクションとしても楽しめるし、若い方が見て何か感じてもらえる所も多いと思います。劇中でも描かれていますが、諦めなければ、「なんとかならないことはない」というのは本当に思いました。僕も今回アクション初挑戦だったわけですけど、無事に完成して「なんとかならないことはないんだな」と思いましたから(笑)。
――最後に「Peachy」とは“ごきげん”“HAPPY”という意味のスラングなのですが、岡田さんのHAPPYの源ってなんですか?
岡田:う〜ん、なんだろう? 心許せる仲間と一緒にご飯を食べてる時がハッピーですね。あとは意外と“引きこもってる時”も幸せだったりします。引きこもる時は演技が上手くいかなかった時とか、人疲れした時だったりすることが多かったりするんですけど、それって“自分と向き合って立て直す”時間でもあるので結局ハッピーの源になるのかなと思います。
『ストレイヤーズ・クロニクル』は6月27日(土)新宿ピカデリー他全国ロードショー。
『ストレイヤーズ・クロニクル』公式サイト:
http://wwws.warnerbros.co.jp/strayers-chronicle/
メイク:TOKI
スタイリスト:大石裕介 (DerGLANZ)
ジャケット&パンツ&ベルト・・・スタイリスト私物
Tシャツ・・・古着・・・¥4800(税別)
撮影:椿孝
取材・文:木村友美
制作・編集:iD inc.
★Peachyの記事が楽々読める無料アプリ
・iPhone版
・Android版
本格アクション初挑戦の心境と、若手俳優と過ごしたことで感じた最年長としての“リーダー”のあるべき姿とは、これから目指す俳優としての道について。想いをじっくり語ってくれました。
『アクションは初挑戦だったので、毎回新鮮でした』
――今回「本格アクション初挑戦」ということですが、出演の決め手、動機はどこにありましたか?
岡田:また瀬々監督と一緒に仕事をしたかったんです。監督がアクション作品をやることに正直ビックリしたんですけど、僕もアクションは初挑戦だし監督も挑戦だったと思うので、頑張ってついていこうと思っていました。
アクションは毎回新鮮でした。練習の時にどういう風に見えるのかビデオで撮ってもらって確かめていたんですけど、腰の入れ方、足の角度だけで全然見え方が違うんです。実際のアクションというよりは映画的に「見せるアクション」に重点をおいて動いていました。でもアクションをしている自分を見るのは不思議でした。「へぇ〜」って思いながら見ていました(笑)。
――“3秒先の未来が見える”超視覚の能力を持つ「昴」というキャラクターについてはどんな印象を持ちましたか?
岡田:本当に優しい青年でありながらすごく葛藤している人。
物心ついた時から一緒にいるチームスバルの仲間をどう支えて、どう生きて行くか、どう敵と戦っていくかを考え、自分の正義を貫きながらも常に模索して生きて行く人、という印象です。昴が特殊な能力を持っている、とかは関係なく、普通の人も悩みながら生きているし、結局は変わらないですよね。だからすごく共感できました。
監督からは「ずっと葛藤していてほしい。(気持ちも)揺れていて」と言われていました。苦しかったですけど僕を支えてくれるチームスバルがいたのですごく助けてもらいました。
――チームスバルの“リーダー”として現場で意識していたことはありましたか?
岡田:常に一緒にいようと思っていました。瀬戸(利樹)君や清水(尋也)君とは結構年が離れていたので話がついていけなかったりしたこともありましたけど(笑)、(成海)璃子ちゃんと一緒に彼らとコミュニケーションをとるようにしていました。2人が璃子ちゃんをずっと“お姉ちゃん”と慕っていたので3人の会話を聞きながらずっと一緒にいました。
今回僕が一番年上だったので、自分のことよりも心配になるというか、「今、何考えているんだろう?」「今、やりづらかったのかな?」とかすごく敏感に感じるようになってました。今までそういうことがなかったので新しい感覚でした。
『なんか俺、ひねくれちゃったんだなぁ とか思いました(笑)』
――超記憶を持つ良介役の清水さんは15歳ですが、ご自身の15歳の頃と比べていかがですか?
岡田:全然違いますね。清水君に映画の現場の話を聞いたら、すごい現場をくぐってきているなと思いましたし、映画が大好きなのはもちろんですけどちゃんとその先も見ているし、歳は関係なく尊敬しました。
――若い役者と共演することで自分の演技への気づきなんかもあったりするものですか?
岡田:そりゃ〜ありますよ!(笑)。「なんか俺、ひねくれちゃったんだなぁ」とか思いました(笑)。でも僕は僕なので、いろんな現場で学んできたことを、これからやらせていただく監督含め、対応できるように、自分がしたいと思うことができる人になりたいですね。
――これからは先輩として頼られる面も増えたり、年下の方との芝居も増えてきますね。
岡田:伊原(剛志)さんとか(石橋)蓮司さんとの芝居になった時に蓮司さんに「現場はどうなんだ?」と言われて「僕が一番年上なんです」と言ったら「お前が一番年上なのか!どういうことだ!?」と言われて(笑)。「お前ちゃんとやってるのか!?」「ちゃんとやってる…つもりです」って言ったんですけど、そのやりとりが不思議でしたね。今まで僕がずっと一番下だったので、皆さん心配してくださって(笑)。
現場では「人間的にもっとしっかりしないと。ちゃんとしないと」とはずっと思っていました。でも……“ちゃんとする”ってどういうことなんでしょうね? 「ちゃんとしてる人」なんて本当にいるんでしょうか(笑)。
でも、そういうことを意識している人が“リーダー”と言えるのかなって思います。
――岡田さんなりの“リーダー”の形が作れるんじゃないですか?
岡田:今まで主役になる方々の背中を見させてもらってきて自分も、「こういう人になりたい」と思うことはもちろんあったし、いいなと思った“いいもの”だけをちょっとずついただいて今自分の中に取り入れているので、いつか僕も自分らしいリーダーになれたらいいなと思います。
僕は自然と人が集まってくる、“この人について行きたい”と思う背中をしている人がリーダーとして素敵だなと思います。
――瀬々監督もそんなリーダーの1人?
岡田:監督の、いつ死んでもおかしくないぐらいのテンションで芝居をつけて集中して現場をひっぱっていく姿がすごく好きなんです。監督はすごく恥ずかしがり屋で不器用なんですけど、そこがすごく人間っぽくて。映画を身を削りながら作っている姿がすごく素敵でかっこいいなと思うんです。「ああいう風になりたい」と思ってる自分がいるのかもしれません。
『“めぐり合う能力”みたいなのは負けない』
――いきなりですけど、岡田さんに劇中のような特殊能力が持てるとしたらどんな能力がほしいですか?
岡田:僕は…暗記ができる、セリフをパッと覚えられる人になりたいです。覚えるのに結構時間がかかる方なので。
――“これは他の人に負けない”という能力はありますか?
岡田:今まで本当にいい監督、俳優さん、スタッフさん、作品に出会えてきたので、
“めぐり合う能力”みたいなのは負けない所ですかね。
――俳優としての約10年の間にご自身で何か変わったと思うことはありますか?
岡田:僕、エンターテイメントが前は苦手だったんです。ハッピーエンドで終わるのがあまり好きじゃなかったんですけど、ここ何年かで出会ってきた人たちにエンターテイメントの面白さを教えてもらって自分から進んで見るようになったのはすごく変わったなと思います。今はワクワクしたり、観終わった後スッキリしていたり、“いい時間だったな”って思うんです。
――それは作り手側にまわったからでしょうか?
岡田:「こういう道があるんだぞ」と示してくれる先輩たちがたくさんいたからだと思います。僕もちゃんと「視野を広げて見ないと」と思いました。
作品や人に出会うことで自分が変わっていくことも大事だなと思いました。「変わりたくない」と思っていた自分がすごく小さいなと思うきっかけになりました。
『セーフティーなとこばかりにいてもつまらない』
――この作品を通過して、これからの俳優としてのビジョンなど描いていることなどはありますか?
岡田:やっていないことをやっていきたいです。怖いですけど怖がらず。失敗してもいいという気持ちで。今回も挑戦するのは即答できるものではなかったですけど、飛び込むことはとてもいいことだとは思っています。今回アクションを経験したことでアクションを知れたし、これを含めて今後さらに違うアクションが出来たらいいなと思いました。
今回一番年上としてやらせてもらいましたけど、今後こういうことが増えていった場合の経験として本当に学ばせてもらって吸収できるものもたくさんあったので新しいことにはどんどんチャレンジしていきたいなという気持ちは今回の作品を経てさらに思いました。
セーフティーなとこばかりにいてもつまらないですからね。僕の中で毎年、何かに挑戦しようと決めてはいます。でも、時にはセーフティーな方にも行きますけどね(笑)。僕は強い人間じゃないので毎回厳しいとこ通ってたら毎日家帰って泣いてますよ(笑)。でも、セーフティーなことを超えて頑張ろうという気持ちは歳を増すにつれて強くなってはいます。
――いろんな「挑戦」を経て完成した本作ですが、ご自身でご覧になってみて率直な感想はいかがでしたか?
岡田:素直に本当に面白いなと思いました。「アクション」とは言ってますけど、若者がひとりひとり悩みながら生きている姿がすごい美しいなと思ったし、儚いなと思ったし、エンターテイメントとしてアクションとしても楽しめるし、若い方が見て何か感じてもらえる所も多いと思います。劇中でも描かれていますが、諦めなければ、「なんとかならないことはない」というのは本当に思いました。僕も今回アクション初挑戦だったわけですけど、無事に完成して「なんとかならないことはないんだな」と思いましたから(笑)。
『意外と“引きこもってる時”も幸せだったりします』
――最後に「Peachy」とは“ごきげん”“HAPPY”という意味のスラングなのですが、岡田さんのHAPPYの源ってなんですか?
岡田:う〜ん、なんだろう? 心許せる仲間と一緒にご飯を食べてる時がハッピーですね。あとは意外と“引きこもってる時”も幸せだったりします。引きこもる時は演技が上手くいかなかった時とか、人疲れした時だったりすることが多かったりするんですけど、それって“自分と向き合って立て直す”時間でもあるので結局ハッピーの源になるのかなと思います。
『ストレイヤーズ・クロニクル』は6月27日(土)新宿ピカデリー他全国ロードショー。
『ストレイヤーズ・クロニクル』公式サイト:
http://wwws.warnerbros.co.jp/strayers-chronicle/
メイク:TOKI
スタイリスト:大石裕介 (DerGLANZ)
ジャケット&パンツ&ベルト・・・スタイリスト私物
Tシャツ・・・古着・・・¥4800(税別)
撮影:椿孝
取材・文:木村友美
制作・編集:iD inc.
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