5月29日に再選したゼップ・ブラッター会長が、6月2日には辞任する激震に見舞われた国際サッカー連盟(FIFA)。180億円以上とも言われる賄賂がジェフリー・ウェッブ副会長をはじめとした要職14人にわたったとして起訴され、7人が逮捕される事態となるなど、混乱を極めている。

ところで、この調査の主導権を握っているのがアメリカの連邦捜査局(FBI)。スイスに本部があり、世界的な組織であるFIFAをなぜFBIが裁いているのか。

それは、賄賂や脱税でアメリカの金融システムを使った疑惑があるからだ。賄賂授受、マネーロンダリングの舞台にアメリカを使ったということで、アメリカ外に住んでいる外国人にも調査の手が伸び、起訴されたため、スイス当局が逮捕した。

2011年、FBIFIFA元理事のチャック・ブレイザーを追及し、ブレイザーは司法取引をして調査に協力。盗聴マイクで録音したり、電話やメールなどを提出して証拠を固めていったとされている。

現在、起訴されているのは、各大会の放送権の決定についての収賄や、2018年ロシア、2022年カタール、さらに1998年フランス、2010年南アフリカという各ワールドカップ開催地決定プロセスでの賄賂疑惑などについての罪だ。その他にも会長選挙に絡む贈収賄の疑惑や、大会利権の販売先からの収賄などもあるとされている。

関係者が世界各国にまたがっており、また数も多いことから疑惑の解明には時間がかかることも予想される。だが4年にわたって集められたという証拠がサッカー界を一時は浄化してくれるはずだ。

【日本蹴球合同会社/森雅史】