松ヤニ使用もやむなし? 滑るMLB公式球には「ピッチャーが使用できる物質を承認した方がいい」

 上原浩治、田澤純一両投手が所属するレッドソックスのジョン・ファレル監督が、メジャー公式球について「滑りやすい」と問題点を指摘し、米国内で大きな話題となっている。“暗黙の了解”と化しているともされる投手の滑り止め使用を公認するか、滑りにくいNPB公式球を導入するという改革案を訴えたことを、MLB公式サイトが「ファレルはグリップ強化の物質に賛成」との見出しで報じている。

「ピッチャーが使用できる物質を承認した方が、私はいいと思う。我々が使っているボールは、泥をこすりつけると、すごく滑りやすい感覚になる。泥の残存物がボールに付着した場合、グリップに安定感を感じないこともある。

 ベトっとした感覚のある日本の使用球を使わない限り、誰もが使える何かを認めた方がいい。もしも、打者に投票させても、打者もボールをしっかりとグリップされていることを認識したいと望むだろう。ボールがすっぽ抜けないということを」

 現役時代は投手。引退後に投手コーチとして手腕を発揮し、2013年シーズンには指揮官としてレッドソックスをワールドシリーズ優勝に導いたファレル氏は、こう主張したという。

 ファレル監督は昨年4月23日にヤンキースと対戦した際に、首元に松ヤニを仕込んだヤンキースの先発投手マイケル・ピネダの調査を審判に依頼。ピネダは不正投球で退場処分となり、10試合の出場停止処分が言い渡されていた。この時は、その前の登板で不正投球疑惑が持ち上がったピネダが、またしても堂々と松ヤニを首に塗り込んでいたために、指摘せざるを得なかったとファレル監督は主張していた。

「ピッチャーは日本のようなボールを使うことを好む」、解決策は肘の靭帯保護にも有効?

 当時、レッドソックスの主砲デビッド・オルティスは地元メディアに「このリーグではみんな松ヤニを使っている。大した問題ではない」と話していた。今季もオリオールズのブライアン・マティス投手が24日のマーリンズ戦で腕に仕込んだ物質を指につけていたために、不正投球として退場処分を受けている。

 ファレル監督は「日本のボールは完全に違う。ピッチャーはあのようなボールを使うことを好むと思うよ。ピッチャーはベトつき感やグリップを高めるものを求めている。日本のボールは明確にそれを供給してくれる」と、NPB公式球の誇るフィット感を高く評価。メジャーで導入するメリットを主張している。

 レンジャーズのダルビッシュ有投手ら日本人投手のみならず、メジャーのピッチャーには、肘の靭帯損傷、そして、トミー・ジョン手術というケースが続いている。この一因として、メジャー球の滑りやすさを挙げる意見も出ている。滑らないようにしっかりボールを持とうとすることで、肘に負担がかかるというのだ。ピッチャーの生命線である肘の靭帯保護というメリットも生まれるかもしれない。

「グリップが良くなったからといって、ボールに違う変化を与えられるとは思わない。手の感覚と全体的な制球を模索してのこと。打者に聞いたところで、(グリップを良くする)物質がボールに別の変化をもたらすとは言わないと思う。(ボールの表面に)傷をつけるようなものではない。それがベットリするようなものならばいい。ワセリンはスプリットの動きを生むのでダメだ」

 記事の中で、ファレル監督は投手が滑り止めを使うことに対し、打者も反対しないだろうとも主張している。滑り止め容認か、日本球導入というファレル監督の掲げたメジャー改革案を、リーグ側は検討するのだろうか。