いなべ総合vs中京

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大接戦の試合は、延長14回タイブレーク2イニング目でいなべ総合が粘り勝ち

リリーフした祝 大祐君(いなべ総合)

 昨夏、甲子園で三重が準優勝(試合レポート)を果たした三重県勢だが、今春の県大会を制したのは、秋に続いていなべ総合学園だった。今季、県内では最も安定した実績を誇っているといっていいであろう。そのいなべ総合は1回戦を延長11回、東海大翔洋に粘り勝っての進出である。

 これに立ち向かう岐阜中京は、昨夏は軟式野球部が崇徳と延長50回を制して全国優勝するなどで話題となった。その軟式野球部と隣接するグラウンドで練習している野球部だが、春季東海大会は6年ぶりの出場である。前日(試合レポート)は、至学館に3点を先取されながらも逆転勝ちして勢いに乗っている。

 中京は初回、いなべ総合の左腕内山 昌高君がやや制球に苦しむところを捉えて、四球と暴投で一死二塁としたところで3番西川君が右越二塁打して先制した。

 しかし、いなべ総合もその裏すぐに反撃。2番太田君が中前打で出ると、盗塁を決めて二死二塁とする。4番秦君が強く叩きつけた打球は、ややイレギュラーして中前へ抜ける安打となり、二走が帰って同点となった。試合は、すぐ振り出しに戻った。

 2回はお互いに3人ずつで抑え、本来の調子が出てきて、次の1点がどちらにどういう形で入るのかが、展開としては大きな影響を与えるのではないかと思われた。その1点が4回、いなべ総合に入った。

 この回、いなべ総合は伊藤 将大君が一塁への内野安打で出ると、四球とバントなどで二死二三塁となる。ここで7番井上君が左前へ好打して2点目が入った。しかし、二走の秦君も本塁を狙ったが、ここは中京の西川君→平君の好中継もあって、本塁アウトとなり、中京も1失点で食い止めた。結果的には、この中継プレーは大きかったということになった。

 1点差のまま終盤に入り8回、中京が2回以降は無安打で捉えきれないでいた内山君を8回につかまえた。1番からの好打順の中京は、服部君が投手強襲安打で出ると、堀田君のバントが野選となって無死一二塁。一死後今井君の強烈な当たりは内野安打となり満塁。ここで元田君が中前打して、2者が還って中京が逆転した。ここで、いなべ総合尾崎英也監督は内山君を諦めて、祝 大祐君をリリーフに送った。祝君は後続を抑えて反撃を待つことになったが、いなべ総合も粘り強い。

3番手でマウンドに上がった岩本君(中京)

 その裏、失策などで二死二塁という場面、ここで中京も先発中村 仁君から、橋本哲也監督は前日好投した澤下君にスイッチ。その代わり端を代打加藤紘大君が叩いて右中間へ運んで、いなべ総合は再び同点とした。加藤君は、先の連休の遠征試合で顔面に死球を当てられながらの復活だった。

 このまま試合は延長にもつれ込んでいった。延長となって、いなべ総合の祝君と中京の岩本君との投げ合いとなってきて、そのまま互いに譲らず、12回まで0が続いて、試合は今大会初めてのタイブレークとなった。

 タイブレークでは中京が4番今井君から、いなべ総合は3番伊藤 将大君から始めることとした。13回はともに一死一三塁として、中京は5番元田君、いなべ総合は4番秦君がそれぞれタイムリーを放ち、1点ずつを取り合って、さらに続くこととなった。

 そして14回、いなべ総合は祝君が投げ切って無死一二塁を0に抑えると、その裏、バントで送って一死二三塁としたところで、8番に入っていた祝君が遊撃へ深いゴロを放つ。向山君は好捕して本塁へ送球したが間に合わず、そのままサヨナラとなった。

 いなべ総合は連日の延長戦を制したということになったのだが、尾崎英也監督も、「さすがに2日連続の延長戦は疲れますわ」と、苦笑していた。それでも、「いい経験をさせて戴いています。実は、昨日バントが出来なかったので、終わってから井上と二人で掛川西さんのグラウンドを借りて、徹底的に練習したんです。それが14回に井上がきちっと送って、その成果が出ました。陰の功労者です」と、タイブレーク2イニング目となった14回にしっかりと送りバントを決めた井上君を評価していた。

 いなべ総合の内山君は、初回こそ1点を失ったが、以降7回までは四球こそ出すものの、無安打に抑えていた。「5回まで持ってくれればと思っていたんやけど、1安打やったからね、8回まで引っ張りました」と、内山君が、いったんは逆転されたものの、抜いた球を巧みに使って好投したことも評価していた。後ろに祝君が控えていたということも大きかったようだ。

(文=手束 仁)