橿原学院がコールドかと思われたが、奈良女子大附がコールド阻止する大反撃を見せる!

好投を見せる扇本(橿原学院)

 奈良女子大附。 名前を聞くと、女子高と勘違いしそうになるが、男女共学である。正式名称は「奈良女子大学附属中等教育学校」。つまり中高一貫であり、国立の高校である。有名なOBを挙げると、京都大学の総長・松本紘氏など教育界で活躍する多くのOBを輩出し、さらには連続テレビ小説の「マッサン」の 八澤俊夫 役で出演した八嶋智人さんもこの学校のOBで名門校なのである。

  中高一貫は、部員集めにはかなり苦労する。というのも高校からの編入は受け入れていない。部員は20人も達しないことが多いようだ。

 だが今年は部員10人以上、入ったことにより例年より多い26人でプレーする奈良女子大附。それによりチーム力が大きくレベルアップした奈良女子大附は、快進撃を続け、ベスト8まで勝ち進んだ。相手は強豪校・橿原学院。しかし序盤から厳しい戦いが強いられる。

 2回表、無死一塁から7番越尾 直登(3年)の適時三塁打を浴び、一死三塁から9番扇本知良(3年)の犠飛で2点の先制を許すと、3回表には、6番井中太一(3年)の2点適時打、4回表には二死二、三塁から4番櫻井響(3年)が右中間を破る適時二塁打を浴び、さらには6回表にも、打者8人の攻めから、一気に4点を取られる。奈良女子大附は3回裏に10対1と圧倒的な差をつけられる。橿原学院のエース・扇本の120キロ後半の速球、キレのあるスライダーのコンビネーションを打ち崩すことができず、試合は7回裏を迎えた。

得点を入れ盛り上がる奈良女子大附ナイン

 後がない奈良女子大附だったが、7回裏、2番手の宮内順也(3年)が登板してからチャンスが生まれた。宮内はコントロールがどうしても定まらず、奈良女子大附が二死満塁のチャンスを作る。ここで2番小林太朗(2年)が走者一掃の二塁打を放ち、10対4でコールド阻止に成功すると、3番木本が歩いて、二死一、二塁から4番伊藤太造(1年)が左前適時打を放ち、10対5とすると、さらに5番石田貴郁(3年)が右越え適時三塁打を放ち、10対7と一気に3点差まで追い詰めるのである。

 エースの扇本を打ち崩すことはできなかったが、見事な攻撃であった。橿原学院は9回表にバッテリーミスで1点を追加し、11対7とすると、奈良女子大附も1点を返すが、反撃はここまで。

 橿原学院がベスト4進出を決めたが、奈良女子大附の健闘が光った試合となった。 率いる長谷圭城監督は、「私は今年から監督に就任したばかりですが、基本的にサインは選手が出しています。そのため今日は元気がありましたし、非常に活気ある姿を見せてくれたと思います」と選手たちの戦いぶりを評価していた。

 また試合後の保護者への挨拶では、「まだ橿原学院の主戦レベルの対戦が少ないので、なかなか打ち崩せませんでした。夏へ向けて、いろいろやりくりしながら、臨んでいきたいと思います」と語った。

 奈良女子大附はグラウンド自体は持っているが、中学との兼用で、週2回しか使えない。また練習時間も2時間ほど。そういう環境の中でも着実に力をつけていったのが素晴らしい。スタメンに1年生が3人出場しており、力もある。3学年で競争しあっていけば、この夏も話題に挙がる活躍を見せるチームになりそうだ。

(文=河嶋 宗一)