春ベスト8!夏へ向けて・・・

春はベスト8に終わった四條畷

 大体大浪商、近大附といった私立破り、今大会快進撃を続けてきた四條畷だったが準々決勝で上宮太子の前に力尽きた。 「力の差は歴然としているのですが、それをいかに接戦でいくかというところですね。途中の2対3というのはウチにとっては理想的な展開でしたが、2対5になった所で、3点を返す力をつけていかないといけないなと思いました」と辻野茂樹監督はゲームを振り返りながら課題を実感した。

 この日は近大附戦から連投だったエース・藤井俊介(3年)が序盤から捕まる。「昨日も170球くらいを投げていたので、今日はいける所まで」という考えだった辻野監督は、3回途中で河野翔太(3年)への継投を決めた。 藤井にとっては無念の降板だったかもしれないが、「近大附戦では藤井が良く投げてくれた。あいつのピッチングがあったからここまで来られた」と三宅弘人主将(3年)が話すように、こういう時こそ攻撃陣が奮起が大事という姿勢がベンチ全体に溢れていた。

 その攻撃では、先制された直後の3回表、勝ち越された直後の4回表と、二死走者なしからチャンスを作って同点にしている。結果的に取れなかったが、5回の攻撃でも二死走者なしから連打で一、三塁のチャンスを作った。相手の上宮太子にとっても、相当な忍耐力を強いられる展開だったのかもしれない。

 ゲームの中で大きなポイントだったのが6回表だ。先頭の6番・大塚悠平(3年)がヒットで出塁し、7番・中原昴(3年)のバントで二塁に進んだ。しかし上宮太子のエース・村上翔太(3年)がここから連続三振を奪い、四條畷はチャンスを生かせなかった。この時に代打で登場した主将の三宅は、「僕が出してもらったのに、気持ちの弱さを出してしまって情けないです」と悔しい表情を浮かべた。

 その裏、上宮太子の1番・田中耶摩斗(3年)と、2番・庄司康人(2年)が連続タイムリーを放ち、大きな2点が入った。

 8回、9回と三者凡退に終わった四條畷。辻の監督が話した「2対5」になった後にもう少し抵抗したかったところだろう。ただ大型連休最終日まで公式戦をフルに戦えたのは、「大きかった」と辻野監督と三宅主将は声を揃えた。勝ち進むことで、野球部だけではなく、一般生徒もたくさん応援に駆け付けた。「今日は3年生が模擬試験だったのですが、1年生と2年生がたくさん来てくれた」と三宅主将は感謝する。学校の友達からのメッセージも多かったそうだ。授業が始まる7日には、また学校でたくさん声をかけられるであろう。これが公立校の特徴であり、良さでもある。

 春ベスト8進出で夏へ向けての収穫と課題がたくさんあった四條畷だが、辻野監督が懸念しているのは、「これが慢心にならないといいが」という点である。試合後のミーティングでは、「ベスト8というのは消えることがない。やってきたことに自信を持ち、それを極める。これからは相手もマークをしてくるので、現状維持ではいけないぞ」との言葉を発した。

 5回戦の試合レポートで紹介したように、国公立大学に多くの卒業生を送り出している進学校の四條畷。短い練習時間の中で、夏へ向けてどのように工夫して強くなっていくか。これから楽しみにしたい。