新田vs丸亀城西

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「ヘビーローテーション」新田、「ハイテンション」で逆転勝ち!

左翼手から3番手マウンドで最期を締め決勝打も放った河野 隼人(新田)

 甲子園に直結しない春の大会は各チーム、勝利を目指す中でも様々なことにチャンレンジできる公式戦である。

 チャレンジの内容は様々。夏へ向けて守備・攻撃オプションを増やす学校があれば、新しい選手・ポジションを試す学校も。そして高温多湿の中で戦える心技体のスタミナを付けるため、あえて自らに困難を課すチームもある。

 そして新田・岡田 茂雄監督はこの一戦で3番目の、かつ最も「ヘビー」な手法を採用した。

 4回表二死二・三塁から丸亀城西1番・森 涼矢(3年・遊撃手・右投左打・174センチ67キロ・三豊市立仁尾中出身)の右翼線三塁打から三連打を浴び3点を失うと、14年ぶり7度目春季愛媛県大会優勝の原動力となった2年生右腕・田中 蓮(177センチ69キロ・右投右打・松山市立小野中出身・第8回15U全国Kボール野球秋季大会愛媛県選抜)をマウンドから降し、2番手を投入。

 しかも、マウンドに立ったのはレフトで「1」を背負って控えていた昨秋のエース・5番の河野 隼人(3年・左投左打・174センチ77キロ・松山ボーイズ出身)ではなく、田中と同じく2年生の左腕・寺沖 翔太(2年・左投左打・170センチ59キロ・松山市立三津浜中出身)。これは「最近、気持ちが入っていなかった河野に刺激を与えるための」岡田監督の荒療治であった。しかも、この試合に勝てば夏の愛媛大会第2シードが確定するにもかかわらず、である。

 これが新田「ハイテンション化」への着火剤となった。寺沖は1点は失ったものの、続くイニングは0に抑え、チームに反撃ムードをもたらし、河野は4回裏に3得点につなげるヒット。さらに6回途中からの3番手マウンドでは丸亀城西打線を無失点に封じ、7回裏には勝ち越し打・8回裏にも10点目の中前適時打。

「四球とかは頂いても、甘い球を捉えられなかった」丸亀城西・河本 浩二監督の悔恨は、勢いの差となり、6点差での敗戦につながることに。ただ、これも新田が自らに仕掛けた「ヘビーローテーション」がなければ、起こりえなかった現象だろう。

(文=寺下 友徳)