序盤から6本の長打を絡めた東海大相模が快勝!

優勝旗を受け取る長倉主将(東海大相模)

 神奈川県大会、決勝のカードは東海大相模vs相模原。この決勝戦を見たいと13時の試合開始を前に球場外には長蛇の列が3列にも4列にもなっている。11時の開門に合わせ球場はあっという間に満員御礼。これが神奈川県高校野球では珍しいことでもなんでもないというところに神奈川県の野球熱の高さを感じる。

 両校、球場内で念入りにウォーミングアップを行い、シートノックを済ませ大一番に備える。オーダーが発表され、相模原の先発は背番号10を着けた左腕・東投手。東海大相模は背番号25を着けた右腕・北村投手。両校ともエースは先発させなかった。相模原の好投手・宮崎 晃亮は三塁手で出場し、東海大相模のダブルエース、吉田 凌・小笠原 慎之介はベンチスタート。両校の控え投手がどこまで試合を作れるかが、この試合のカギを握っている。

 13時、試合開始。初回、先攻の相模原は簡単に二死を取られ、3番・金子 圭希を迎える。ここで金子が放ったのは東海大相模・北村の高め真っ直ぐを右翼席に運ぶ先制本塁打。相模原が本塁打で1点を先制した。打撃戦に強い相模原が挨拶代わりの一発で観客を魅了した。

 1点取られた東海大相模だが焦った素振りはなく、むしろサバサバした表情で攻撃へ向かおうとしている。本塁打は計算できないことから、切り替えて反撃しようとしていた。そして東海大相模が相模原・東に襲い掛かる。一死から2番・宮地 恭平が内野安打で出塁。3番・杉崎 成輝が左中間に二塁打を打ち、素早く同点に追いついた。続く4番・豊田 寛もレフト線へ二塁打を放ち、逆転に成功。さらに東海大相模の走塁が相手ミスを誘い、追加点を奪う。後続も5番・長倉 蓮、6番・磯網の連続安打でチャンスを広げたが、この後は繋がらず。東海大相模が5安打3得点で逆転に成功。今年のチームも非常に完成度は高く、打撃・走塁抜け目がなさそうだ。

 続く2回裏も東海大相模の打線が止まらない。一死から1番・千野 啓次郎が四球で出塁。2番・宮地が二塁打を放ち、簡単に一死二、三塁を作る。ここで相模原ベンチは東に代えて右サイドスローの坂崎をマウンドへ送るも、3番・杉崎に2点タイムリーを打たれてしまう。4番・豊田にも三塁打が飛び出す。5番・長倉の場面でボークを宣告されてしまい、追加点を献上。打者の長倉に死球を与えたところで相模原は三塁手で出場していたエース・宮崎 晃亮をマウンドへ。だが味方のミスからさらに1点を与えてしまう。2回終了時点で東海大相模が7対1でリード。攻撃力で相模原を圧倒している。

初回、先制本塁打を放った3番・金子(相模原)

 3回表には相模原が1点を返すが、その裏に東海大相模が二死一、三塁から重盗をしかけすかさず1点加える。反撃したい相模原に対して、東海大相模がそうはさせない。

 相模原・宮崎が4、5回と東海大相模打線を抑え込み、流れを持ってくる。絶対的エースの宮崎を援護したい相模原打線も初優勝に向けて黙っていられない。6回表、先頭の9番・井口が安打で出塁。盗塁を仕掛け成功する。一死二塁から2番・宮崎が中前安打を放ち、1点追加。ここから3番・金子、4番・森山が連続四球を選び、無死満塁。東海大相模・北村がこの日初めて、制球が乱れた。なおもチャンスで5番・市川が適時打を放ち、さらに追加点。4点差まで追い詰める。

 7回表、相模原の攻撃で一死から、東海大相模は北村に代えて、エース・小笠原 慎之介を投入する。小笠原の登場に球場はどよめいた。相模原に流れが傾きかけていると感じての判断であろう。小笠原は安定した投球でこの回をしっかり抑える。なんとか反撃したい相模原打線であったが、立ちはだかる小笠原の壁は大きく8、9回も捉えることができないまま試合終了。8対4で東海大相模が平成20年以来の春優勝を果たした。

 今日の試合でも圧倒した攻撃力、抜け目のない走塁、安定した守備力を見ると今年度も東海大相模は完成度高く、夏の二連覇に向けて死角はなさそうだ。

 一方敗れた相模原。ここまで安定した戦い振りを見せて勝利してきたが、二番手投手が序盤で崩れてしまい試合が決まってしまった。試合では2回からリリーフした宮崎が4回以降、強力・東海大相模打線を無安打に抑え込み、終盤まで互角に戦った。実力は公立校ながら本物だ。夏優勝果たすためには宮崎以降の二番手投手を整備することが不可欠だろう。

 両校は5月16日から山梨県で開催される春季関東大会へ出場する。神奈川県の野球レベルを存分に発揮したい。

(文=高校野球ドットコム編集部)