今治西vs徳島商

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凄みを増す今治西の4番・藤原 睦来

5打数5安打3打点を叩き出した今治西4番・藤原 睦来(3年)

「チームプレー」が最も重要な高校野球。が、この試合に限っては今治西の4番・藤原 睦来(3年・183センチ79キロ・右投右打・今治市立大三島中出身・2012年・第7回15U全国Kボール野球秋季大会・愛媛県選抜)の独り舞台であった。

 投げる方では先発も打者5人に対し被安打3・四死球1と精彩を欠く出来。「チームの調子を崩さないうちに継投させる」(大野 康哉監督)当初方針通り、早々に昨年8月・東予地区新人大会以来の公式戦登板となる秋川 優史(3年・180センチ70キロ・右投右打・西条市立東予中出身)へ2番手を託した。

 が、このままで終わらないところが藤原 睦来の藤原 睦来たるゆえん。マウンドで果たせなった責任はバッターボックスで。センバツ後「顔をベースの上に乗っける感覚で懐を作って、内からバットを出す」新打法の積み上げは「中前適時打・左前打・中前適時打・中前打・右中間適時三塁打」の5打数5安打3打点となって成就。秋川を援護した。

 これには対戦相手の徳島商サイドもお手上げ。冬場の下半身・胸回りトレーニングで常に二塁送球2秒を切る強肩を手に入れた河村 佑希(3年・捕手・170センチ64キロ・右投右打・徳島ホークス<ヤングリーグ>出身)も「高く浮いたり、甘かったら捉えてくる。上には上がいる」と脱帽の態である。

 最後はこの試合で代打から一塁手として高校公式戦デビューを果たした2歳下の実弟・藤原 拓実(1年・投手・183センチ82キロ・右投右打・今治市立大三島中出身・2014年・第9回第7回15U全国Kボール野球秋季大会・愛媛県選抜)に対し「まだ迷いがあるので、思い切りやってほしい」とエールを送った藤原 睦来。「チームがうまくいかない時に打ってもらわないと」と指揮官の打撃評価はいまだ辛口ではあるが、大型右打者として必須である「凄み」は日に日に、そして確実に増している。

(文=寺下 友徳)