一気呵成でコールドゲームの点差に!

坂下遼太郎主将(須磨翔風)

 1回に相手のエラーで、2回に2番・松本良介(3年)のタイムリーで2点を先行した須磨翔風。186センチのエース・才木浩人(2年)は最速142キロの直球を武器に尼崎工打線を抑えていく。だが、3回以降は相手の先発・早川翔(2年)の粘りのピッチングを前に、得点ができなくなっていった。

 しかし6回裏に転機が訪れる。才木が「力んでしまった」と先頭打者にフルカウントから四球を与えると、二死一、二塁のピンチとなって、尼崎工の5番・大山あつき(3年)のタイムリーを浴びて1点差に詰め寄られた。打球がショート・森匡暉(3年)の前でイレギュラーする不運な失点だったが、これで須磨翔風の打者陣に火がついた。

 「この大会は点を取られた次の回にしっかりと攻められている」と主将の坂下遼太郎(3年)が話すように、失点した直後の7回表の攻撃が大事だということがチーム全体で意思統一が出来ていた。

 その7回表、ヒットで出た松本が盗塁を決め、二死二塁となって打席の4番・坂下はマウンドの早川に対する。1ボール1ストライクからの4球目、打球はレフト前へと抜けると、松本は一気に本塁へと戻ってきた。欲しかった3点目を、失点した直後の攻撃で挙げられた須磨翔風。ここから一気呵成の攻撃を見せ、一挙6得点。1点差だったのが、気がつけばコールドゲームにできる7点差になっていた。

 その裏、才木は先頭打者を打ち取ると、マウンドを同じ2年生右腕の中野克己に譲る。そして後続の二人をしっかりと打ち取り、7回コールドゲームで学校として初めてのベスト4進出を決めた。

 失点した直後に得点したのは見事だったが、「取られてからではなくて、普通の時でもその攻撃ができるかどうかがまだ課題です」と坂下主将は次の準決勝へ向けて気を引き締め直した。