強烈! 前橋育英の長打攻勢

尻上がりに調子を上げていった久保田君

 前橋育英が初回、四球の走者を進めて二死三塁としたところで4番井古田君。井古田君の一打は会心のスイングで、95mのスタンドに放り込む先制2ランとなった。その裏、太田東も二死から室田君が四球で出ると、滝本君も右中間を破って、一塁走者室田君は一気に本塁へ向かったが、ここは前橋育英の好中継もあって本塁タッチアウト。

 前橋育英としては、この試合までの守りのテーマとしては、「ホームアウトとダブルプレーをとろう」ということにしていたという。その一つがいきなり初回に出たということで、前橋育英はこれで、相手に傾きかけた流れをもう一度自分たちの方へ引き戻すことができて、完全の試合の主導権を握った。

 4回にも前橋育英は一死二塁で高橋巧君が左翼頭上を破る三塁打で帰し、さらには7番森田君も左前打して続いて、この回2点を追加。そして、5回には3番石田君の代打奥澤君が起用に応えて、左翼へソロホームラン。ここまで5本の安打のうち2本の本塁打を含む三本が長打で、いずれも得点に絡むという長打攻勢だった。

 さらには、7回にも二死三塁から5番兵頭君が中前打して、前橋育英はなおも1点を追加した。

 立ち上がりには、若干の不安を感じさせた前橋育英の久保田君ではあったが、尻上がりの好投を見せて、8回を投げて、3安打のみで0に抑えた。しかも、2回以降は三塁にも進めさせないという内容だった。2回は太田東ベンチがエンドランを仕掛けて飛球からのものだったが、4回と合わせて、もう一つのテーマだったダブルプレーも2つ記録することができて、前橋育英としては準備してきたことが、きちっとできたということで攻守ともにいい感じの、会心の試合だったといっていいだろう。

初回に本塁打を放った井古田君(前橋育英)

 荒井直樹監督も、内容のいい試合で関東大会進出を決めて満足げだった。「相手の沼岡君はいい投手ですから、そんなにたくさん点は取れるとは思っていませんでしたけれども、井古田がいいところで一発が出ましたね。このところ調子があまりいいわけではなかったので、強いゴロを打っていくようにと言ったのですが、いい形になりました」と、初回の2点で勢いづいたことをまず勝因として上げた。

 また、4回に背番号15の高橋巧君が三塁打したことに関しては、「カンフル剤として起用しているのですが、いい形で打てましたね」と、奥澤君の代打本塁打とともに、起用がズバリ当たったとこも喜んだ。

 関東大会進出を果たしたことに関しては、「全国レベルの高いレベルの相手と公式戦を戦えるわけですから、やはり、どんな強い相手との練習試合よりも収穫はあると思います」と、気持ちを新たにしていた。

 ここまで沼岡君の好投などで進撃してきた太田東は、やや力負けという印象はぬぐえなかったものの、夏へ向けて、また面白いチームが出てきたなという印象は十分に残したのではないだろうか。

(文=手束 仁)