強気で挑んだエース!

瀬岡渉(紀北工業)

 1回に1点を先制された紀北工だが、4回に6連打などで一挙7点を奪って逆転した。 6点差をつけたが、谷本憲司監督は「必ず接戦になるから」と選手に伝えたという。その言葉通り、5回に守備のミスなどもあり。5点を返されて1点差までに迫られた。しかも5回に守備の時に、3回のタイムを使い切り、後半は伝令を出すことができない状況。しかしここで耐えたのがエースの瀬岡 渉(3年)。まだリードしているとポジティブに捉え、強気で初芝橋本打線に対した。

 瀬岡の強気が見られた一端が7回裏一死三塁で初芝橋本の4番・黒瀬 健太(3年)を迎えた場面だ。直前に差が2点に広がったこともあり、カウントによって歩かせるという選択肢は「なかった」という。ボールが2球先行したが、3球目をショートゴロに打ち取り、1点をあえて献上してファーストでアウトを一つ取った。

 再び1点差となった8回裏にも、瀬岡の強気が見られる。二死二、三塁で1番・和田佳樹(3年)の場面。ここまで2安打を放ち、この試合に関しては黒瀬よりも怖い打者だったが、ストライクを先行させて見事に三振を奪った。「落ちついて投げられた」という瀬岡。9回は、圧巻の三者三振。しかも強打者の黒瀬を最後の打者にして締めくくった。

 試合後に話を伺ってみると、実は昨秋の方が調子は良かったという。「今は左肩の開きが早くなっているので、そのあたりを練習では意識しています」。創部50年目で初めて春ベスト4に進出した紀北工。エース・瀬岡の強気のピッチングに今後も注目してみたい。

 一方、敗れた初芝橋本。主将の黒瀬は試合後に悔しそうな表情を見せた。自身は肩のケガで現在ファーストを守っているが、4回に6連打で7点を取られた時は、キャッチャーとしてピッチャーをリードしてあげられないもどかしさを感じていたそうである。打撃でも力みが見られて5打数ノーヒット。「ここという場面でしっかり打てるように、1球1球を大事にして練習していきたい」と夏へ向けての課題を話した。

 この日は第1試合ではあったが、全員で第4試合までスタンドで観戦。和歌山のベスト8をしっかりと目に焼き付けて、夏への気持ちを新たにしていた。