16安打12得点!橘が打撃で昨秋王者を撃破!

4回に3点本塁打を放った福田(橘)

 第二試合開始は17時35分ということから開始前より照明が点灯。ナイターゲームで試合は始まった。昨年秋の神奈川覇者である平塚学園が優位かと思えた。しかし、対する橘は試合終盤まで相手を圧倒する。

 平塚学園・先発は1番を着けた高田ではなく、右サイドスローの堀江投手。小柄だがキレのある球を投げ込む。1回表、橘打線は初回から平塚学園に襲い掛かる。2番・戸田が敵失で出塁する。3番・福田が左打席からライトオーバーの三塁打を放ち、1点先制。なおもチャンスで4番・肥後の適時打で追加点。橘が打力で2点を先行。

 続く2回表、橘・7番の石川が二塁打でチャンスメイク。8番・上條が犠打を決めて、一死三塁。ここで9番・先発投手の高田が二塁打を放った。3対0。ここで平塚学園ベンチは、たまらずエース・高田 孝一をマウンドへ。ここから2四球を出すが、3番・福田を併殺打に打ち取りピンチを断つ。

 4回表にも橘は平塚学園・高田を捉える。2安打を絡めて1点を奪い、なおも一死一、三塁のチャンスで3番・福田が打席へ。この日絶好調であることから、大きく期待がかかるこの場面。応援席のボルテージも最高潮に。高田の真っ直ぐを完璧に捉えた打球はそのまま右翼席へ飛び込む3点本塁打。なんと7対1で橘がリードする展開に。橘の積極的な攻撃力が昨秋覇者に対して圧倒している。

 6点差をつけられた平塚学園だが落ち着いていた。4回裏、二死から5安打、2四死球を絡めて4得点を返す。点差をつけられたが、集中力を切らさずに繋ぐ打撃が見事だった。これが昨秋覇者の底力なのか。平塚学園はここから巻き返したいところだ。

2回よりリリーフのマウンドに上がった高田投手(平塚学園)

 昨秋関東大会出場に貢献した平塚学園・高田だったが、橘の強力打線を止めることができない。6回表には自身の制球の乱れから1点を失う。8回表には一死二、三塁のピンチを招き、橘・6番増岡の2点三塁打で追加点を取られる。さらに適時打で1点を奪われ、11対5。スタジアムが『まさか』を感じ始めてきている。

 橘は9回表にも、チャンスを作り3番福田の適時打でダメ押しの追加点を加える。平塚学園は11安打放つも、逆転する力は残っておらず試合終了。12対5で橘が昨秋覇者の平塚学園に打撃力で圧倒し、大金星をあげて見せた。

 第一試合の相模原も打撃は素晴らしかったが、橘は群を抜いて振れていた。3番・福田を中心に16安打を平塚学園に浴びせた橘の打撃力は本物だ。見ていて気持ちいい打撃は横浜スタジアムの観客を虜にしていた。今回はまさに快進撃だが、橘は本来の実力を発揮してみせたのではないだろうか。

 敗れた平塚学園。高田投手も一冬超えて成長していたものの、終始流れを掴めずに橘の打撃力が上回る形になってしまった。夏へ向けて課題も出た試合となった。

 準決勝は同じ公立校でチームカラーも似ている相模原と対戦が決まった。私学優位の神奈川県だが今年は公立校2校の健闘が目立つ。橘は私学相手に圧倒した打撃力でここまで勝ち進んできたが、相模原にも発揮することができるか。両校の対決により神奈川県で公立校の出場は2001年の百合丘以来となったが、相模原を含め、両校には公立だからという気持ちは一切ない。

(文=高校野球ドットコム編集部)