8回に集中打で3得点!市立松戸が選抜出場の木更津総合を撃破!

1失点完投勝利した原島投手(市立松戸)

 この日も清々しい青空に恵まれた千葉県野球場。第一試合は市立松戸vs木更津総合。言わずと知れた強豪・木更津総合は今春選抜へ出場しており、甲子園でも1勝をしている。スケールの大きいチームとして今大会も千葉県制覇を目指し、春季関東大会出場を狙っているであろう。選抜の疲れはなさそうで選手達はリラックスしている表情も見受けられた。対する市立松戸も、1回戦は敬愛学園を破っており、前評判は木更津総合が優位であるが、相手に対してどう向かっていくのかがこの試合の見所であった。開始時間の9時が近づくにつれて、木更津総合を一目見ようとこの日は多くの観衆が詰めかける試合となった。

 木更津総合の先発は今大会から背番号1を背負う、左腕・早川 隆久(2年)。選抜よりもさらに真っ直ぐが伸びている印象を受けた。初回、市立松戸の3番・田中 雄大(3年)に当たり損ねの安打を打たれたが、2三振を奪い難なく0点に抑える。早川のしなやかな投球フォームから繰り出される投球に市立松戸打線は全く合っていなかった。

 1回裏、木更津総合の1番・小原 直起(3年)が市立松戸の先発・原島 康平(3年)の真っ直ぐを右前に安打を放つ。あまりに鋭い打球だったため右翼手が追いつけず、小原は三塁へ。ここで市立松戸が連携ミスをする間に小原が一気にホームイン。木更津総合がいきなり1点を先制した。こういった抜け目のない攻撃が選抜出場校の実力であるのか。ただ、この回は1点止まり。

 だがここから、木更津総合打線が市立松戸・左サイドスローの原島を打ちあぐねる。原島は丁寧にコースに投げ分けて、変化球を外角中心に投球していき、フライの山を積み上げる。木更津総合は選抜では本格派投手と対戦しているため、こういった投手との対戦もなかなかなく、完全に原島の投球術に翻弄されている。7回裏に木更津総合の5番・小池 航貴(2年)にレフトオーバーの三塁打を打たれ、追加点のチャンスを与えたが後続をしっかり抑えてここは無得点。

2点タイムリーを放った中嶋大(市立松戸)

 なんとか力投している原島を援護したい市立松戸打線。木更津総合・早川からここまで10三振を奪われていたが8回表、ついに捉える。先頭の8番・塚原 萌樹(2年)がこの日、2本目となる安打で出塁。9番・達 匡純(2年)が四球で繋ぐ。1番・水本 北斗(3年)は凡退するが、2番・安部 倭斗(2年)が走者を送りたいと犠打を試みる。これが相手の失策を誘い、一死満塁のチャンスを作った。球場の雰囲気が変わってきている。ここまでくると、市立松戸が流れを掴む。二死になるが4番・中嶌 陽太(3年)、5番・中嶋 大輔の連続タイムリーで3点を奪い、ついに逆転。あれだけ打ちあぐねていた早川をここでマウンドから降ろした。木更津総合のベンチが慌ただしく動き始める。

 市立松戸がリードして迎える、木更津総合・最終回の攻撃。ここから意地を見せる。4番・檜村 篤史(3年)、5番・小池が連続安打でチャンスメイク。ここから二死になるが8番・木戸 涼(2年)が四球で繋ぎ、二死満塁とする。途中出場で初打席の9番・矢代 明日翔(3年)を迎えた。ここは高め真っ直ぐをフライに打たせて取り、試合終了。市立松戸が木更津総合を3対1で破る大金星を挙げてみせた。

 まさに私立校に対して、こうやって勝つんだと言わんばかりの試合運びを見せてくれた市立松戸。最後まで諦めず、チャンスがきた8回表をモノにして勝利を掴む結果に。突出した選手はいないが選手がきっちり役割を果たしていた市立松戸に勝機が転がってきた。

 木更津総合はまさかの2回戦敗退により、夏はノーシードで迎えることが決まった。選手層は圧倒しているが終始、打線が繋がらなかった。勝敗のポイントはまさにここだろう。

 今大会、公立校の躍進が目立っている千葉県。今大会、夏の大会と大旋風を巻き起こすことはできるのか。今年の千葉県は大混戦になりそうだ。

(文=高校野球ドットコム編集部)