57年ぶりベスト16の勢いある相手に対し・・・

バントを仕掛ける本多悠将(社)

 社は、14安打で11得点を挙げて、2試合連続のコールド勝ちを決めた。 この日の相手は57年ぶりのベスト16進出となった姫路東。前日には好投手のいる三田松聖を延長で破っている。その勢いある相手に流れを掴ませないために大事だったのが立ち上がりだ。

 1回表、エースの田中元貴(3年)は一死から連打を浴びた。打席は4番・本田淳人(3年)。キャッチャーで主将の村井良彦(3年)は、「松聖戦の映像を見て、スイングが早く、変化球に対応してくる打者」と警戒していた打者だったことを明かす。この本田に対し、社バッテリーはできれば三振を取りたいと意識を合わせた。 結果は狙い通り、1ボール2ストライクからの4球目で空振り三振を奪う。田中元の武器である縦のスライダーを決め球に使う見事な配球。さらに5番・森原大地(2年)をショートゴロに打ち取り、初回のピンチで相手に流れを掴ませなかった。

 その裏、今度は社が先に流れを掴もうとする番だ。そのために駆使した策がバントヒット。左打者の1番・本多悠将(3年)は、1球目をピッチャー前に転がし、俊足を生かしてヒットにした。山本巧監督は、「変化球で打ち取るピッチャーだったので、強引に打ちにいかずに、引きつけて打つ。その意思統一の中で、バントを決めてくれた」と策が決まった感想を話す。

 そして続く2番・久山大地(3年)も初球を打ち返し、ショートへ内野安打を決めた。わずか2球で作ったチャンス。姫路東の先発・井筒克馬(3年)は次の3番・梅本愉雅(2年)に四球を与えてしまった。これで流れが社に傾いたと言ってもいいだろう。 社は4番・舟川晃平(3年)のタイムリーと、5番・岡原義文(3年)の犠牲フライで2点を先制。2回には一挙5点を奪って、エースの田中元を楽にした。

 防戦一方になってしまった姫路東だが、3回の攻撃で四球にボークを絡めてチャンスを作ると、4番・本田が二塁打を放って1点を返した。前日に三田松聖の好投手二人を攻略した攻撃力の一端が見えたように感じる。57年ぶりのベスト16で夏の兵庫大会は第1シードを獲得した。この勢いを夏にもう一度見てみたい。