北米産牛肉の輸入再開決定を受けて厚労、農水省が開いた国民向け説明会(撮影:宗宮隆浩)

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12日に北米産牛肉の輸入再開が決定したことを受け、厚生労働省と農林水産省は15日、東京都千代田区の中央合同庁舎で、国民向け説明会を開いた。両省の担当者らが、再開までの経緯と今後の対応について説明。生後20カ月以下の牛であることや脳、脊髄など特定危険部位(SRM)の除去などの輸入条件が、米・カナダ両国内で守られるように政府として監視を続ける姿勢を強調した。だが、集まった消費者らからは「本当に安全なのか」「20カ月以下の識別はできるのか」など不安の声が相次いだ。

 牛海綿状脳症(BSE)の発生で、カナダ産牛肉は2003年5月から、米国産は同年12月から輸入停止されていた。しかし「輸入条件が守られるなら北米産と国内産との(BSEの)リスク差は小さい」との食品安全委員会の答申と、両国政府からの「輸入条件を受け入れる」との回答を得て、輸入再開を決めた。

 説明会には、食肉生産、加工、卸などの関係業者と消費者ら約460人が参加した。両省では、今回を皮切りに、仙台、名古屋、大阪など全国9カ所で説明会を計画している。

 冒頭、農水省の中川坦消費・安全局長が「何より食の安全が第一。消費者の信頼を得ることを念頭に対応する」と政府の方針を示した。その後、担当者が経緯などを説明。輸入条件順守は「第一義的には米国、カナダ政府の責任」とした上で、さらなる安全確保のため、政府として査察団を両国に派遣し、輸入プログラムが順守されているか確認する、とした。また、米国内の牛肉処理施設でのSRM除去や月齢確認の手順を紹介。日本向け牛肉は、他の牛肉とは別工程で区分けし、こうした作業は両国政府の検査官が検証するなどと説明した。

 質疑応答では、安全性を不安視する声が目立った。食肉販売業の男性は「解禁は朗報だが、米国の月齢確認は甘いのでは」と質問。両省担当者は「基本的に米国の制度。念押しで日本から査察に行く」と答えた。消費者男性は「BSEの原因とされる肉骨粉が牛以外での家畜に飼料として使われている」と指摘し、担当者は「両国政府に是正を求めている」と現状について述べた。また、主婦が「外食産業は原産地表示が義務化されていないので、選択のしようがない」と訴えると、担当者は「7月にガイドラインを策定し、原産地表示へ向け業界の自主的な取り組みを促している」と述べた。【了】

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