「セックス前のマッサージは足つぼが一番」と語るのは、『脳で感じるSEX入門』の著者で、東京都江戸川区にある「弘邦医院」院長のドクター林氏である。
 「その理由は明白です。足の刺激を感じ取る“脳の領域”は、性器からの刺激を感じ取る領域と隣り合わせ。つまり、足で受けた刺激は性器に影響を与えやすいからです」

 足と性器は隣り合わせ--。思えば、我ら中高年世代が若い頃、ナンパハウツウー本に、“女とヤリたけりゃ、歩かせろ”といった教えがよく書いてあった。実はアレ、医学的にも合っている話なのだ。
 「歩かせて疲れたところをホテルに誘い込む、という話ではないんですよ(笑)。歩く=足を使うことで、男女とも意識せずとも脳内で性器に刺激が走り、自然と性欲が高まるのです」

 足つぼマッサージであれ、歩く行為であれ、とにかく足に刺激を与えることが、セックス前には何よりも重要だったのだ。
 そして、ここには“死ぬまで現役”でいるためのヒントも隠されていた。
 「現代はED患者、さらに勃起はするけど性欲が湧かない男性が増えていますが、それは昔に比べて足を使わなくなったことが一因です。デスクワーク中心の会社員はもちろん、タクシーやトラックの運転手さんも、長時間の運転中、座っていることが多いですからね」

 心当たりのある方は要注意。しかし、もちろん解決法はある。
 「一番いいのは、一日一回でも結構なので足をマッサージする。やり方は簡単。単に自分が気持ちイイように揉んだり押したりすればいいのです。時間は5分〜10分行えばOKです」

 非常に簡単だが、マッサージする時間すら面倒臭い、という方もいるだろう。そんな時は、以下の方法を試してみよう。
 「ふだん座っているときに、軽く足の筋トレを行いましょう。アスリートもやっている『カーフレイズ』というトレーニングで、まず座った状態から、かかとだけを上げます」

 かかとがこれ以上伸びないところまで上げて、ゆっくりと下ろしていく。
 「ただし、かかとは地面につけないこと。ギリギリのところで踏ん張って、またかかとを上げるのです。これを12〜15回ほど繰り返す。次第に慣れてきたら、3セットほど行ってください」

 ふくらはぎや足首を鍛える筋トレで、当然、足への刺激も強い。
 「足のむくみや、足首のだるさを取り除いてくれるうえ、脳から性器に刺激が与えられるので、無意識に精力アップのトレーニングになっているのです」
 これなら、ちょっとした作業中や休憩中にできるはずだ。

 また、貧乏ゆすりも決して悪いことではない。確かにあの行為も足に刺激を与えているのだ。
 「もっといえば、女性が貧乏ゆすりをしていたら、性的なストレスが溜まっている可能性が高い。足をゆすることで自分でも知らないうちに脳から性器に刺激を与えて、欲求不満を解消しているのです」

 目の前で女性が貧乏ゆすりを始めたら自分のことを嫌っているかも!? いやいや、そうではない。むしろ抱かれたがっているのかもしれない。

ドクター林
弘邦医院(東京・江戸川区)院長。『脳で感じるセックス入門』や『お医者さまが教える癒されてもっと気持ちよくなる!』など著書も多数。ED治療にも精通しており、現在、同医院では局部海綿体注入法による「ICI治療」も行っている。