アンパンマンはやりすぎ?正義を問うコラムがネット上で物議

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知名孝(ちな たかし)沖縄国際大学人間福祉学科准教授が沖縄タイムスに寄稿した、アンパンマンを引き合いに出した『「アンパンマン」と「正義」の功罪』という社説が、ネット上で物議を呼んでいる。

アンパンマンで、毎回バイキンマンがこっぴどくやられるというストーリーを引き合いに、「悪役のやっつけられ方のほうが、最初彼らがやった加害行為よりも数倍ひどく残酷なやられ方(殺され方)だったりする」という意見、いわゆる「勧善懲悪」的ストーリーの危険性への警鐘を鳴らしているもので、「基本的にあれは"正義"を活用した、攻撃性放出ストーリーだと思います。やっつけるためのストーリーなんですよね」と、正義を前提にしつつも暴力性の放出を促すだけで「「お前は悪い」だからリベンジっていうスタイルのストーリーは、「正義」がテーマであっても、「正しいことをやろう」っていうストーリーにはなりにくい」としている。

ネット上でもこの意見に対して「リアルに2m飛ぶような殴り方したらそれはそれで(世間に)叩かれるだろうな」「でも機械使ってアンパンマン吹っ飛ばしたり潰したりしてるだろ」「悪人は殺されても文句言えない存在」「カビルンルン使って生物テロ起こしまくりじゃねーか」など、「過剰な暴力は考え物」と、「先にやったから罰を受けるのは当然」というふたつの意見に真っ二つ。

文中では「水戸黄門」をアダルト版アンパンマンと称し「「ただのジジイ」と思っていた人が、社会的に地位と名誉と権力のあるお方だった...っていう、いかにも、アダルトのくすんだ攻撃性がぷんぷん臭うストーリー」と中々ユニークな視点も披露。いわゆる子ども向けという訳でなく、巷には正義が悪を倒すストーリーが当たり前のようにあり、アンパンマンだけが例外ではないということだ。

「アニメの表現を真に受けること自体ナンセンス 」といったそもそも論を唱える人も数多く見受けられるが、一般的なヒーローもので定番フォーマットである「勧善懲悪」的考え方も、「"正義"ははき違えると、とても、とてもやっかい」ということを伝えているこの社説、賛否両論あるが巷に溢れている"正義"について改めて考えさせられる内容である。

■参照リンク
『それいけ!アンパンマン』公式サイト