By Enrique Saldivar

今や多くの人が利用するGmailを提供しているGoogleは「Gmailの中身を読むことはビジネスとして当然の行為である」と主張していますが、ある男がGmailで「児童ポルノ」に該当する画像を添付して送信したところ、Googleがこれを発見して関連機関に通報し逮捕されるという事件が発生しました。

Houston man charged with child porn possession after Google cyber-tip

http://www.khou.com/story/news/crime/2014/07/30/houston-man-charged-with-child-porn-possession-after-google-cyber-tip/13378459/

Gmail spots child porn, resulting in arrest [Updated] | Ars Technica

http://arstechnica.com/tech-policy/2014/08/gmail-spots-child-porn-resulting-in-arrest/

児童ポルノ画像を所持していたとして逮捕されたのは、アメリカ・ヒューストン在住のジョン・スキラーン容疑者。スキラーン容疑者が露出度の高い幼い女児の画像をGmailに添付して送付したところ、Gmailのシステムがこれを感知。その情報をThe National Center for Missing & Exploited Children(全米行方不明/被搾取児童センター)に通報したことから逮捕に至ったとのことで、その詳細は以下のムービーで報じられています。

逮捕された41歳のスキラーン容疑者。約20年前には、当時8歳の少年に対する性犯罪を起こしたとして逮捕された前科がある人物だとのこと。



Googleは容疑者が送信したメールに幼い女児のポルノ画像3枚が添付されていたことを検知して通報。その情報をもとに警察が捜査したところ、容疑者が所持する端末に児童ポルノ画像が保存されていたことから逮捕に至りました。



画像は単純に「JPEG画像を添付していた」というものではなく巧妙に偽装されていたとのことで、ICAC Task Force(児童に対するインターネット犯罪特別捜査班)・ヒューストン支部のデイヴィッド・ネトルズ捜査官は「私たちの知る方法では画像を見つけることができませんでした。どのようにGoogleが見つけたのか、わかりません」と語っています。



Skillern容疑者は地元のレストランチェーンのキッチンスタッフとして勤務していましたが、所持している端末の中には同レストランで食事する子どもの様子を撮影したムービーが含まれていたとのこと。



近所の住民は「見た目は普通の人でしたが、逮捕されてよかった」と驚きと安堵のコメントを語っていました。



今回のケースでは、Gmailのシステム上で実装されているとみられるポルノ検知の仕組みが児童虐待行為を防止するために機能したわけですが、それでも依然としてGmailにまつわるプライバシーに関しては賛否両論が渦巻いているのが現状で、The GuardianはGoogleやFacebookによるプライバシーの覗き見について「プライバシーの死」と題した記事を掲載しています。

The death of privacy | World news | The Observer

http://www.theguardian.com/world/2014/aug/03/internet-death-privacy-google-facebook-alex-preston

今回のケースのように児童虐待にあたる行為に対して「プライバシー」という言葉を用いるべきかどうかは大きな疑問が残るわけですが、これまでにも孫が水浴びしている写真をパソコンの中に保存したおじいさんが児童ポルノ単純所持の罪で警察に捕まり起訴されるという事象や、友人にWi-Fiを使わせたがために身に覚えのない児童ポルノ所持の罪で家宅捜索されたという事象も発生しており、今回のGmailにまつわるケースでも最悪の場合にはLeakのような匿名性の高いメールサービスから勝手に送りつけられたメールに児童ポルノ画像が含まれていた場合にも逮捕・検挙されかねない事態を引き起こすことも完全には排除できません。

Leak - Just say it. Send an anonymous email.

http://justleak.it/index

なお、Leakではポルノ画像を含む違法な画像やデータを送付することを禁止しし、そのサービスも「完全に匿名というわけではない」としています。